飲酒運転事故と精神分析 タイトル画像

1、はじめに

このサイトのコンテンツは編集者の実体験に基づいています。

この原稿は12月31日(大晦日)に書き始めました。先の月刊 精神分析で報告しました通り私事で手術を受ける事になり種々の作業に遅れが生じまして各方面にご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんm(_)m。

さて、今号の月刊 精神分析では飲酒運転を取り上げます。

私が生活している福岡県福岡市は過去飲酒絡みの悲惨な事故が発生しており、市民レベルでも飲酒運転撲滅運動(撲滅という表現は古臭い)が展開されており、それなりに飲酒運転の「危なさ」も認知されているのですが未だにワーストなにやらの上位に福岡県がランクされており情けない限りです。本サイトでは心理学や精神分析的視点で飲酒と事故を語ってみたいと思います。

私が住んでいる福岡県の事故発生(人身がらみ)は43,678件(2013年)で全国3位。ちなみに
1位愛知県 48,949件
2位大阪府 46,110件
3位福岡県 43,678件
4位東京都 42,041件
単純に発生件数で3位。

これを人口1000人あたりで割った交通事故発生件(率)
1位佐賀県 11.15
2位香川県 10.25
3位静岡県 9.46
4位宮崎県 9.34
5位群馬県 8.91
6位福岡県 8.58
でも堂々の6位。

飲酒運転事故件数
1位愛知県 245件
2位大阪府 240件
3位千葉県 211件
4位東京都 205件
5位埼玉県 192件
6位兵庫県 191件
7位福岡県 171件
も7位。

飲酒運転がらみの事故の発生件数が171件という件数は氷山の一角の数字であって、飲酒運転者の数は膨大な数になる筈。

2014年平成26年12月31日

月刊 精神分析 編集部A

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2、福岡と飲酒運転

試しにGoogleで「福岡 飲酒運転」と検索してみよう。
思った通りトップで表示されるのは「福岡海の中道大橋飲酒運転事故 - Wikipedia」である。

福岡海の中道大橋飲酒運転事故(ふくおかうみのなかみちおおはしいんしゅうんてんじこ)

福岡海の中道大橋飲酒運転事故とは、2006年(平成18年)8月25日に福岡市東区の海の中道大橋で、市内在住の会社員の乗用車が、飲酒運転をしていた当時福岡市職員の男性今林大(いまばやしふとし)(当時22歳)の乗用車に追突され博多湾に転落し、会社員の車に同乗していた3児が死亡した事故。

主犯の加害者に対しては、危険運転致死傷罪が適用されるかが争点になったが、危険運転致死傷罪と道路交通法違反を併合した懲役20年の刑が最高裁にて確定、執行された。


また2011年2月09日には16歳の高校生2人が犠牲になる飲酒暴走運転の事故が起きている。

福岡・粕屋町の県道で9日夜、普通乗用車が歩いていた高校生2人をはね、1人が死亡、もう1人が意識不明の重体となっている。警察によると、9日午後11時10分ごろ、粕屋町仲原(なかばる)の県道で、普通乗用車が路側帯を歩いていた16歳の少年2人を、追い越し際にはねた。この事故で、福岡市内の私立高校に通う山本寛大(かんた)さん(16)が死亡、同級生の皆越隼人さん(16)が意識不明の重体となっている。山本さんは、事故現場近くの倉庫の壁に上半身が突っ込んだ状態で発見され、皆越さんは、およそ50メートル先に倒れていたという。車を運転していた飯盛義郎(35)は、「事故の直前、近くの居酒屋でビールなどを飲んだ」と話しているということで、警察はまもなく、男を自動車運転過失致死などの疑いで逮捕する方針。

「飲酒暴走車」高校生2人『殺人』―福岡ワーストなぜ?

福岡県粕屋町で先週9日夜(2011年2月)、花も実もある人生をこれから送るはずだった2人の高校生が飲酒運転の暴走車に跳ねられ亡くなった。またしても飲酒運転事故全国ワースト1位の福岡。飲酒運転の犠牲になったのは山本寛大君と皆越隼人君の2人で、いずれも16歳の高校生。事故のあった道路わきには、2人のために花束や飲み物が手向けられている。その沿道の建物の外壁が大きく破れていた。寛大君が後方から来た車にはねとばされ、頭から突っ込んだ跡だという。寛大君の母親の美也子が無念さを語った。「自分が死んだかどうかわからないくらいすごい衝撃で亡くなったのだろう。ニッコリ笑っているような死に顔でした。寛大の歯ブラシを見ては泣き、残された洗濯物を見ては泣き...。何とか致傷罪とか、道路交通法とかまったく関係なくて、被害者の立場から見ると飲酒運転は殺人です」。飲食店や周囲のモラルは低い。福岡では2006年、公務員の飲酒運転で3人の子供の命が奪われる痛ましい事故があった。教訓として、厳罰化など飲酒運転撲滅に立ちあがったはずなのに...。

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3、飲酒運転の厳罰化

2007年平成19年9月19日の道路交通法改正施行により、酒酔い運転の罰則が「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、酒気帯び運転の罰則が、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」へとさらに厳罰化された。また、飲酒検知を拒否した場合も「3月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と強化された。これは前項で述べた「海の中道大橋飲酒運転事故(2006年8月)」の発生を受けたもの。

福岡県では「飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」が2012年平成24年4月1日施行(同年9月21日全面施行)された。全国初の罰則付き飲酒運転撲滅条例。

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4、飲酒運転撲滅へメディアの取り組み(ラジオ局)

営業中にラジオをつけていると夕方「昨夜も飲酒運転による事故が発生しました。なぜ飲酒運転するんでしょうか?やめないんでしょうか?」としつこいくらい語りかけるDJがいた。

声の主は中洲の山田さんことTOGGYさん。福岡ではメジャーなラジオDJだ。ネットで情報を検索すると・・・。放送していたFM局はCROSS FM(クロス エフエム)の「TOGGY's T.T.」と言う番組。番組名の「T.T.」とは「Topics Today」の略(TOGGYさんは2014/03/27をもってCROSS FMナビゲーターを卒業)。

で、番組中(月~金)の18:00ごろTOGGYさんは"Operation:DDD"(オペレーション・ディー・ディー・ディー)の活動の一環として飲酒運転の事故の速報を流していた。DDDとは「Dont Drink and Drive」の略。

更に、"Operation:DDD"ってなん?と情報を検索すると、

オペレーション「DDD」

オペレーション「DDD」は、前日に福岡県内でおこった飲酒事故件数を毎日、福岡県民に知らせる行動を展開していきます。イチローの連続ヒットも、なでしこジャパンの快進撃も、電力使用量の%も、毎日報道されれば気になるものですよね?福岡県民は、昨日の飲酒事故件数を気にしてみましょう!

・・どうも広告代理店の方やFM局の方が福岡県警察と交渉して「飲酒運転による事故の速報数字」を毎日入手し、番組中で放送する事で飲酒運転撲滅啓蒙広報"Operation:DDD"のコーナーを実現したらしい。

http://cromagnon.livedoor.biz/tag/DDD

県民だよりや市政だよりにイマイチ関心をもてない僕らも人気DJの語りには耳を傾ける。

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5、TEAM ZERO FUKUOKA (西日本新聞社)

飲酒運転撲滅キャンペーンでネット検索でいの一番にヒットするのは「TEAM ZERO FUKUOKA」

平成26年2014年08月25日に「10,000人のチームゼロ 8.25 in 大濠公園」と称して、イベントが開催された。

イベントの趣旨

福岡市東区で2006年8月25日、飲酒運転による交通事故で幼い子ども3人の命が奪われました。痛ましい事故から、まもなく8年。悲劇が二度と繰り返されないよう、各地で飲酒運転撲滅に向けた啓発や運動が起きていますが、いまだ飲酒運転による事故は相次いでいます。飲酒運転は「しない、させない、絶対許さない」ことをあらためて確認し、飲酒運転のない安全で安心して暮らせる社会を実現するため、8月25日正午~、福岡市中央区の大濠公園で「1万人のチームゼロ 8・25 in大濠公園」を開催します。上空から眺めると大きなゼロの形をしている大濠公園をぐるっと囲んで、飲酒運転ゼロへの思いを込めた巨大な青い「0」をつくる福岡史上初のプロジェクト!

福岡の地元紙の西日本新聞社の対飲酒運転キャンペーンとして企画されたイベント。関連動画なども多数動画サイトにアップされているので視聴して下さい。

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6、はぁとスペース 山本美也子(事故遺族)

NPO法人はぁとスペース
http://www.nvc.pref.fukuoka.lg.jp/f_cities/profile/1955

NPO法人 はぁとスペース - ライブドアブログ - Livedoor
http://blog.livedoor.jp/heart_space/

NPO法人はぁとスペース | Facebook
https://ja-jp.facebook.com/heart2525space

2011年2月09日飲酒運転によって起きた事故で犠牲になった山本寛大君の遺族:母の山本美也子さんが代表を務める法人。

以下事業内容
1.ドライバーズマナーアップ運動事業
2.障害者アスリート支援事業
3.自由に集える場所の提供支援事業

「はぁとスペース」で検索すると、飲酒運転撲滅啓蒙動画や、地元のFM福岡に出演されている様子がヒットする。飲酒運転事故の犠牲となり実子を亡くされた母の訴えは胸にささる。山本さんの訴えは決してヒステリックなものではなく、母性あふれる語りで好感をもつ。

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7、剥き出しの無意識の恐ろしさ

アルコールは、神経伝達物質のグルタミン酸が神経細胞へ情報を伝達するシステムに影響を与えます。アルコールがシナプスの中のグルタミン酸に侵入すると、情報を送る機能に異常が起きるので、結果的に筋肉や発話、バランス、判断など、脳全体の機能に影響が及ぶのです。

お酒を飲むと脳・体、そして運転によろしくない影響が現れます。具体的には・・

1、動体視力が落ち、視野が狭くなります。そのため信号の変化や路上の人や車の動きの見極めが 遅れます。
2、抑制がとれ理性が失われているため、運転に必要な判断力が低下しています。スピードを出し ていても気づかなかったり、乱暴なハンドルさばきをしてしまいます。
3、集中力が鈍っているため、とっさの状況の変化に対応できなくなります。
4、運動をつかさどる神経が麻痺しているため、ハンドル操作やブレーキ動作が遅れがちになります。
5、体の平衡感覚が乱れ、直進運転できず、蛇行運転をしたりします。

精神分析や心理学的な切り口で語ると、2、や、3、つまり抑制(欲望を抑える力)がとれ、理性が失われる・・感情的な言動が表象する事が問題となります。

意識で理性をもって抑圧している無意識によって、心にもない事を口走り、平素はありえない事故を起こします。事故とは思いもしないことが起きる事を「事故」といいます。そうです、事故とは「思いがけず起こった悪いできごと」なのです。

例1)飲酒した人が眠気におそわれ寝ぼけた状態になると、他者の問いかけに応答はするものの、目を覚ますした時点(意識が戻った状態)で、つい先ほどの応答した事実が記憶にないと言う。無意識状態での言動をまったく覚えていない。

例2)平素は理知的な言動をする人が、過度の飲酒をすると、野卑で下劣な言動で人に因縁をつけ警察沙汰となる。警察官が取調べをするとまったく覚えていないと平然と言う。
正気になる(意識が戻る)と酔っていた時の事は覚えていませんという。つまり、酒は人の理性を剥ぎ取り無意識(複合観念体:コンプレックス)を剥き出しにするのである。

しらふの人からすると何とも迷惑な話で、たちの悪い飲酒者。

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8、凶悪犯罪者との共通点

そう言えば、秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大被告も「最初に刺した二人は覚えているがその後の事は覚えていません」と言っていた。加藤智大被告は事件前にアルコールなどを口にしなかった。

他にも世間を騒がす大事件、珍事件で加害者が取り調べに対して「覚えていない」と供述する事が多々ある。

傍で聞いている私たちは「自分に都合の悪いことは忘れるのね」とか「記憶にございませんは田中角榮だっけ」「マジキモイ」などと加害者や容疑者の人格を疑うのだが、事をしでかした方にしてみれば「本当に思い出せないから仕方ない」と述べ、傍聴者は「しらばっくれやがって」と訝るのである。

この手の事象をネット検索しているとヒットするのが「解離性障害」である。

解離性障害

解離性障害は本人にとって堪えられない状況を、離人症のようにそれは自分のことではないと感じたり、あるいは解離性健忘などのようにその時期の感情や記憶を切り離して、それを思い出せなくすることで心のダメージを回避しようとすることから引き起こされる障害である

上記の事象は加害者本人が意識してそうしているのではない・・・心のダメージを回避しようとすることから無意識に「解離」するのである。

飲酒しむき出しの無意識は、本来、意識で抑制しているモードで記憶している状態から「解離」し、動物的な攻撃性を顕わし、正気モードでは「思いもよらない事故」を起こし、他人の命を奪うような事態となっても、酔いが覚めれば「よく覚えていません」と供述するのである。

無意識という名のコンプレックス(複合観念体)を抱えている我々は決して一滴でも飲んだ状態でエンジンをかけハンドルを握ってはいけないのである。

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9、私の体験談

もう実父が亡くなって一年以上経つので語ってもよいだろう。

飲酒運転の事故報道で、亡くなった被害者遺族の話は多く語られるが、事故の被害者遺族がいれば加害者の家族も存在するわけで、私自身の体験談を語ってみる。

私がまだ小学校低学年の頃。

昼間、学校から帰ってきた時、青いビニール製の簾(すだれ)の向こうから母の声がした。

「お父さんが事故をおこしたとよ。近所の人には言わんとよ」

もう40年近くの前の事の筈なのだが、鮮明に覚えている。

「近所の人には知られてはいけない事なら、わざわざ小学生の息子に言うなよ。」・・と思った。

聡明とは思えない実母の発言によって、私は知らなくてもいい事を知らされたのである

当時の私の家庭環境はちょっと複雑で、住んでいる家は父方の祖母の所有の二階建ての木造住宅に祖父、祖母、父、母、私(長男)、弟(次男、当時幼児)の6人家族。木造の二階部分は他人に間貸しできる様な構造になっており、僅かながら他人から家賃を徴収できる構造だった。更に祖父は祖母の再婚相手であり、言わば私の父は祖母の連れ子として祖母名義の家に同居していたのだ。しかしながら、当時の私は小学低学年生。大人の世界の話は関係なく。毎日、公園や近所の路地裏でごっこ遊びに興じていた。

しかしながら、テレビの中の明るい家族ドラマと、リアルな自分の家族には大きな隔たりがあり、つくりもののテレビの家族と現実の私の家族とは大きな隔たりがある事を感じていた。

自己愛の強い祖母所有の家で暮らしている再婚相手の祖父。連れ子の父。そこに嫁いだ母。そんな両親のもとに生まれた私達。すでに暗雲が立ち込めて込めている構図がみてとれる。

更に面倒な要素がでてくる。「宗教」がらみの話である。戦前、戦中、日本と言う国は国家神道で思想統一され「天皇」=「神」。日本は神の国。神国。日本軍は神軍。八紘一宇。欲しがりません勝つまでは。で、頑張ったものの、あえなく敗戦。戦後、日本はGHQによって、不戦の平和国家。アメリカの属国として再スタートした。天皇は日本国民の象徴となり、宗教思想の自由は憲法で保証された。

戦後、国家神道の代わりに新興宗教ブームがおきた。

我が家も、ある新興宗教に入信した。もちろん、イニシアチブを持っているのは祖母。自己愛の強い祖母は新興宗教の教義の自分にとって都合のよい部分を家庭に持ち込み、自分を「仏」と称し、相反する者は仏の反逆者と位置づけ迫害した。

家庭内政治における政教一致である。神格化した独裁者は恐ろしい。

さて、そんな状況で「父が起こした事故」とは。

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10、父が起こした事故とその後

実父に面と向かって事故の事を聞いた事はない。

家族や親戚がしゃべっている断片的な話を子どもの私がきいて組み立てたものだ。

私の父は飲酒している状態であったものの、知人を駅におくる途中で、老婆をはねる事故を起こた。刑法上どういった処罰が課せられたのかは不明(わからない)。しかしながら事故によって発生した民事賠償は祖母が所有していた家と土地を手放して支払ったらしい。・・・というもの。事実、これ以降、私の父は自動車の運転免許を取得せず、一生涯丸いハンドルを握る事はなかった。

昭和40年代当時、交通戦争という言葉で揶揄されたように交通事故が多発していた。にもかかわらず任意保険の加入率は、昭和45年は全国平均で41.8%。1971年(昭和46年)6月2日施行の改定道路交通法より運転席、助手席でのシートベルト着用について努力義務を課す事となった。・・こう言った車世界が安全に対してまた未成熟であった時代の話である。

なにしろ、事故が起こった時、私は小学校低学年であった為に、事故の詳細は知る由もなかったし、その意味も何もわからなかった。

ただ、母が発した「お父さんが事故をおこしたとよ。近所の人には言わんとよ。」と言う言葉によって。父が私と理想とする父ではなくなった。父をモデルとして男と成長する事はできなくなったのだと思った。

以降、当然の事ながら、父は「去勢」されたも同然だった。一生、祖母に対して頭があがらない。後年、定年前の父が祖母に向かって「言うことをききすぎた」と言い放ったのを覚えている。

更に父は実子の私にものを言う時も「あんたに説教ができる私ではないが・・」が枕詞になった。今でも思い出す父の言うセリフはこうだ「宗教新聞を読みなさい。宗教指導者の本を読みなさい。」。

亡くなった父の事を云々いうのは忍びないが、父はずっと祖母追従であった。一生涯祖母と連れ添ったのである。今風の軽い言葉で言うとマザコン。母は父の事を私にこう言っていた「あなたのお父さんはおばぁちゃんのリモコンよ」と。

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11、精神分析的語り(私からみた父)

精神発達論や心の構造を知った私が私の家族の有様を考察した。

父が起こした飲酒運転事故の意味。「愛憎相半ばする」と言う言葉があるように、父は本当は祖母が殺したいほど愛していたのだ。実際に父は祖母を殺す事はできないので、飲酒してハンドルを握った時に別人である老婆に牙をむいたのである。飲酒時に無意識(コンプレックス:複合観念体)がむき出しになる恐ろしさを感じる。普段は聡明で祖母に追従している父が、飲酒をしてハンドルを握った瞬間、無意識が発動し、憎しみを無関係の老婆にむけてしまったのだ。

飲酒+ハンドル=破滅と思ってよい。

多分、実父は事故の瞬間の事をよく覚えていなかったのでは?と推測する。正気なら記憶も確かな筈だし、そもそも他者の命を殺める事は出来なかった筈だ。

現実の世界に引き戻された父はその後どうなったかと言うと、民事賠償金を祖母に肩代わりしてもらったので、祖母と父の支配被支配の関係性は更に強化されたし、父としての主体を失い、生きていく主体を宗教団体の教義に求めた。だから、実子の私に「俺を見習えと言う事ができず、宗教新聞を読め、宗教指導者の本を読め」というあるべき父ではない別の父になったのである。

父の要件を心理学の世界では「父性」とよぶ。父性を確立できなかった父は、父性の代わりに宗教教義を導入したのだ。

交通事故を起こしたのを切っ掛けに優秀な医師(慶應義塾大学病院時代、心臓外科の名医として石原裕次郎の手術チームの一員でもあった)であった林郁夫氏がオウム真理教にはまっていったのを思い出す。

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12、精神分析的語り(私からみた私)

父の事故は父の人生の一コマに過ぎないが、父の無意識(コンプレックス:複合観念体)を分析する上では重要な事象である。

どこの家も傍から見ているだけではわからない「家庭の事情」というものがあって、その中の家族関係の中で生活し、身体の成長、精神発達もあるわけである。

私自身も精神分析の世界を知って、自分自身の有様を一族の家系図を書いたり、自身の養育史を紐解いて考察してみた。

結果、時代背景や、経済状況、祖母と父の関係、父と母の関係、その中に私は誕生し、私と言う肉体と精神が培われたのだと悟った。

精神分析の世界に「心的遺伝子論」と言う言葉がある。

世に言う「遺伝子」とは「DNA(デオキシリボ核酸)」で、二重らせん構造で、親から子供へ身体的特徴が伝承されていく。で、DNAを鑑定する事によって個人が特定されるので犯罪行為を立証する上での証拠として用いられる・・。

で、「心的遺伝子」である。

肉体的な遺伝と同様に心や精神構造も親から子へ引き継がれていくという論があって、それを「心的遺伝子論」とよぶ。

「此の親にして此の子あり」

「父」という主体を持てずに「父性」のかわりに「宗教教義」を代入した父を父のモデルにできなかった私はどうなったか?自己愛者(ナルシスト)の祖母によって宗教支配された家庭に育った私はどうなったのか?

本来、子ども時代に獲得すべき精神構造を獲得できなかった私ではあるが、これからの分析活動で欠損している部分を補っていきたい。

今、生きている私は16歳で原動機付き自転車の免許を取得して、社会人になる前に普通免許を取得し、現在は大型二輪免許も取得しているし、普通に乗用車にも乗車している。ただ、主な通勤手段は自転車を愛用している。^^。幸いにして?取り返しのつかない事故を起こした実父の精神構造と心的遺伝子を継していないようだ。

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13、おわりに

今回の月刊 精神分析はいかがでしたでしょうか?

飲酒運転が社会的に問題になる時期であり、精神分析的語りのテーマとして取り上げました。

月刊 精神分析シリーズにおいて、飲酒によって無意識が剥き出しになる事の怖さを取り上げてきましたが、今回は飲酒運転そのものをテーマに取り上げました。

2014年平成26年12月31日

月刊 精神分析編集部A

ご意見ご感想はlacan.fukuoka@gmail.com

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14、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク



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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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