オールOK子育て法タイトル画像

1、はじめに

今月の月刊 精神分析は、改めて「オールOK子育て法」を考察したいと思います。

久しぶりに「オールOK子育て法」でGoogle検索してみた。私自身が精神分析の世界を知った約10年前は「オールOK子育て法」について語ったサイトやホームページは皆無であった。

それくらい、「オールOK子育て法」はネット上に存在していなかったし、私自身もその言葉の存在すら知らなかった。

< 時は流れ幾星霜 >

あっという間に10年の時が流れた。今現在(2016年)、ネット環境の普及や、ブログの流行、精神分析家の諸先輩の広報活動の努力もあってGoogleでネット検索すると「オールOK子育て法」にまつわる情報も手軽に入手できるようになった。この時点で、私の出る幕はないのだが・・・

が、偶然、見つけた「オールOK」のサイトは、なんと「私はオールOKで育てられました」と・・・最初「は?」と思ったのだが、中身に目を通して納得した。

昔は「オールOK子育て法」の話をすると「子どもをそんな我がままに育てて大丈夫?」と言う反応が多かったのだが、いよいよ「オールOK」で育てられた子ども自身が、その有用性を語る時代が到来したのだ。

「オールOK」で子育てすると、こんな子どもに育ちます・・と理論に基づいて説明はできていたのだが、果たして育った子どもは、理論・理屈通り親の思惑通りに成長したのだろうか?

今月の月刊 精神分析では

私「オールOK」で育ちました・・と自称されるB子さんの協力を得て、子ども目線で「オールOK子育て法」を再考察します。

ご意見ご感想は、

lacan.fukuoka@gmail.com

でお待ちしています。

2016年平成28年11月30日

月刊 精神分析 編集部A

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2、B子さんとB子さんの母の紹介

< B子さんの母 >

典型的教育ママだったが、B子さんが、中学でいじめられて「学校なんて行きたくない」と言い始めた時、悩んだ末「オールOK子育て法」(精神分析)に出会う。

本人は、3人姉妹の末っ子として生まれる。姉2人とは異なり、放任主義で育ったが、ガミガミと怒られている姉たちを見て、「本当は自分も怒ってほしい」と感じ、「怒ること・心配すること=愛情(まなざし)」だという価値観とともに育つ。

「子どもを心配することが親の役目」だと感じている。

< B子さん >

東京生まれ。
幼少時から「しっかり者の良い子」として育つが・・

中学校時代(12歳)いじめに遭い「学校に行きたくない」と母に訴えた事をきっかけに、母親が子どもへの対応法として「オールOK」を開始する。

そして、母を通して精神分析の理論に触れ、将来は心理学に関わる仕事がしたいと思うようになる。

大学卒業後、OL期間を経て、保育士として勤務。長年の夢だった米国への留学から帰国し、現在は心理カウンセラーとして活動中。

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3、そもそも「オールOK子育て法」とは

無意識を発見した精神分析医:フロイトの「精神発達論」をよりどころにしています。

子どもを「自分の道を、自分で決められるような人」「自分の好きなことを見つけられる人」に育てたいお母さんにオススメです。

オールOK子育て法

1、オールOKですから、子どもの言うこと、要求には全てOKします。子どもに言われない事は基本的にしませんが、わからない事は聞きます。そして「ダメ」と言わないでください。

2、「喜んで」「敏速かつ適確」に「一貫」して対応する事が付け加えられます。「後で」ではなく、できるだけ「今すぐ」要求に応えます。

○子どもの心と身体が病まないよう、リスクを限りなくゼロに近づけるための子育てと言ってもいいと思います。

ここでよくある質問。

子どもの言いなりになるなんて、子どもにとってはいいでしょうけど、子どもの際限ない要求に即応えるなんて、我がまま放題に育てていいんでしょうか?躾(しつけ)はどうなるんですか?・・については後の頁でお答えします。

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4、フロイトの精神発達論から(抜粋)

精神発達論を学習されている方はこの頁をとばされて結構です。

人の心を育てる。

<口唇期(おおむね出生時から1.5歳まで)> 乳児: 1歳に満たない子供

「オールOK」することは、子どもの自我を認めること、自己肯定感をつくること。まず母親に何でも受け入れてもらい、母との間に信頼関係を築くこと。それがなく否定され、拒否され、怒られ叩かれたのでは、恐くて人と関係を結べない。この基本的信頼を築くのが、口唇期の時期です。


<肛門期(おおむね2歳から4歳頃まで)> 幼児期(前期)

母との「分離・独立」を目指しつつ、母への再接近を試み、母に呑み込まれるでもなく、見捨てられるでもない、母との程よい距離や関係を反抗という形で再構築するのが、肛門期の適切な心の発達である。

お母さんは、母性を発揮し、母港、母星となって、子どもが程よい距離や関係を構築できるように、いつでも子どもを迎え入れ「オールOK」してください。

<エディプス期(男根期)(おおむね4歳から7歳頃まで)> 幼児期(後期)

男児は父に同一化し、男性としての自己を確立する道を歩む。

女児はペニス羨望を放棄して、母に同一化し、その女性性を獲得する道を歩む。

<潜伏期(学童期)(おおむね6歳から13歳頃まで)> 小学生

精神的には比較的平穏な時期で、就学を通して勤勉さを身につける。それに失敗すると劣等感を抱いてしまう。この時期「オールOK」することで子どもらしさ(甘え、活発、言いたいことを言うなど)を発展していく。

<青年期(12歳以降)> 中学生以降

「思春期」であり、自我の確立、アイデンティティ(自己同一性)確立の時期である。

子ども時代には絶対的存在であった親を乗り越えていくため、親を馬鹿にし、反抗し、「くそババア、死ね」くらいのことは言う。これが正常な発達のサインである。いつまでも偉大な親であり続けたのでは、子どもは成長できないので、特に母親は子どもの成長のための踏み台となってやる。そのために「オールOK」していく

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5、よくある質問:そんなに我がままに育てて大丈夫?

私が思う一般常識で「親子関係」と言えば、親が子どもを自分が扱いやすい子どもにしようとする。世間体優先で、世間から目線で子どもに接する。子どもの金銭の要求、生活様式、習慣、宗教、価値観に対する抑圧。親に従うか、反発するかは子どもの選択。行き着く先は、引きこもるか、出て行くかの(行動パターン)二者択一。もしくは、悪い方に転がると、長い時を経て欠損を抱えたまま「本格的な心の病」を発症する事になる。

最近観た映画「葛城事件(2016年)考察」の葛城一家はまさしくこのパターンでした。先月の「月刊 精神分析」で特集済。

オールOK子育て法の「親子関係」は、親が子どもの欲求を常に無条件に迅速に一貫して満たし続ける。子どもは自己肯定感と主体性を獲得し、本来、獲得する筈の自我を更に強固にする関係です。

「たくましい自我を獲得するのはいいんですけど・・・子どもの言いなりになるなんて、子どもにとってはいいでしょうけど、子どもの際限ない要求に即応えるなんて、我がまま放題に育てていいんでしょうか?いつまでも親に依存し続けるダメ人間になってしまうのではないですか?また、躾(しつけ)はどうなるんですか?」・・・と言う問いに答えます。

子どもは、親に十分甘えられて、満足することができると、誰かにやってもらう(依存)より、自分の力を試したくなる時期がきます。そして、自分でできる事が喜びとなり、自分できる事を広げていこうとします。この時、「誰かにしてもらう」という受身性の意識から、自分の意思で考え、行動するという能動性の意識へと変わり、自立心が育くまれます。

つまり、ある時期がくると、親を頼って欲望を満たすのではなく、自立を試みる時がやってくるのです。私自身が「オールOK」されて育ったわけではないので感覚的なところがわからなかったので、以下、実際に「私、オールOKで育てられました」とおっしゃるB子さんへのインタビューで誌面を書き進めていきます。

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6、B子さんの母の対応はガラリと変わった。オールOKの成果

「すぐにでもオールOKに取り組むように」と言われたB子母は、B子さんへの対応をガラリと変えた。

欲しいものがあっても、誕生日とクリスマスにしか買ってもらえなかったのが「何か欲しいものがあれば、いつでもいいから言いなさいね」に変わり、「おなかすいた」と言うと「今、作ってあげてるんでしょ!ちょっと待ってなさいよ!」とキレてた母が、「ごめんね、もう少しで出来るからね」と穏やかになりました。その変わりようは、子どもの目から見て戸惑いを覚えるほどでした。・・・と。

編集部A:まぁなんという変わりようでしょう?母様は天使だったのです・・って古いか(笑)。育てられる方の立場の子どもにしてみれば超ありがたい対応法でございます。

B子さん(子ども立場)が語るオールOKの効用

「私は、安心して自分の言いたいことを口にしてもいいんだ」と感じられるようになり、色々なことを親に相談できるようになりました。そして、途中で心が折れることなく無事に大学まで卒業し、今では、常に自分のやりたい仕事をしています。多少のことではへこたれず、ストレスも溜めにくい性格になりました。母親がオールOKに出会わなければ、今頃は社会に絶望し、引きこもりになっていたかもしれません。それほど、オールOKの育て方は、子どもの心の成長に大きな影響を与えるのだと実感しています。

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7、B子さん、オールOKで親へ依存しなかった?

編集部A:えっと、オールOKで育てられた子どもが主体的に動き出すって、具体的には、どういう時ですか?損得考えたら、親にずーと依存して楽に生活していく選択も有りかな?と思うんですが・・・と言う、意地の悪い質問をしてみた。

B子さんの回答

親から「なんでも好きなことをしていい」と言ってもらえるんだとわかってからは、自分の行動は、ほとんど自分が考えて決めてきたと思います。

親に依存して、頼めば何でもやってもらえるというのは確かに楽ですが、色々なことにチャレンジしてみたいと思ったとき、親の手を煩わせることなく取り組んでいける自由さや、自分ひとりの力で成し遂げたときの充実感、誇らしさは、親にやってもらう楽さには代えがたいものがあります。

経済的な自立としては、大学を出るまでは思う存分、甘えさせてもらい、とても有り難く感じています。ただ、満足いくまで甘えさせてもらったからこそ、社会人になってからは「自立をして、一人暮らしをしよう」と思ったのだと思います。

具体的に「何がどうなったら」と言う話は個人差があるのだろうが、B子さんの話からも、依存→満足→自立というプロセスを辿る事は確かな様だ。

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編集部A:考えてみれば、それは当たり前の事で、なんでも母親に依存し、親に金銭をたかる事=「快感原則」ではない。

快楽原則

快楽原則は、現実原則と並んで心的機能を支配する基本原則の一つで、人が持っている不快な状態を避け、本能的な欲望や衝動の、即時的、直接的な満足を得ようとすること。

編集部A:自分の子ども時代を思い出してみると、見るもの聞くものすべてが興味の対象で、触ってみたり、いたずらしてみたり、別に、親に興味の対象を定められるわけでもなく、自分の行きたい所へいって、お金を出せば手に入れられるものなら対価を支払って自分の自由にしたくなる。すべての欲望を満たそうとする。それが心地よい「快」であって、居心地の悪い場所で、したくもない事を強制されるのは「不快」。父や兄のする事を「僕もする」ってやってみて、出来る事は「快」で、出来ないのは「不快」で、成長する過程において、まだ自分の出来ない事を母に頼むのは自然な事で、お金で満たされる欲望があるなら「金銭」という手段で満たしたい。「子どもには無限の可能性がある」・・わかったかのような識者の言葉だが、その子どもの可能性をことごとく潰しているのは、なんの事はない当の大人達ではないか?

私自身の体験を話せば、私は母に承認されるより「そんな事して何になるの?」「そんな事をしても生業にはならない」・・とNGを出されまくった記憶しかない。「一体、僕は何をすればいいの?」「国家官僚になればいいの?」当然の事ながら、私は実母と距離をおいて生活する様になっていったのである。

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8、B子さんの中学お受験

編集部A:B子さんに質問。中学受験をされたそうですが、そもそも中学校って義務教育ですよね。なんでまた中学受験をされたのですか?塾は自分の希望で通われたのですか?

B子さんの回答

中学受験をするきっかけは、2つ上の兄が受験勉強をしていた(親にさせられていた)からです。

勉強をする兄を見て、単純に、塾でもっと勉強ができるのは楽しそうだな、と思ったんですよね。最初は地元の中学に進むつもりでいたし、私立中学を受験する気はありませんでした。

ただ、親としては、塾に通わせるなら、中学受験をさせないと、とは思っていたようです。

ちなみに、オールOKを知る前の母は、典型的な教育ママで、塾の勉強をやらないとテレビを見せてくれなかったり、放課後に学校に残って委員会活動をしていると「塾の時間だから」と学校まで迎えにきたりしていました。

また、まれに私が「塾に行きたくない」といえば「自分で行きたいって言い始めたんでしょ!」と怒鳴りつけ、無理やり引きずってでも塾に連れていくような感じでした。

編集部A:で、中学校受験の時は自分で主体的に動けましたか?

B子さんの回答

ギリギリまで「地元の中学に行きたい」と主張はしたのですが、「塾に行かせてるのは、私立を受験するためでしょ!」と怒られ、地元の中学に行くことは許されませんでした。ただ、最終的に受験をした際には、志望校は自分の好きなところに決めました。親は行かせたい学校があったみたいでしたが、その学校よりも私の目指す志望校の方がレベルが高かったので「まあいっか」と思ったようです。

勉強は嫌いではなかったので、とても楽しく塾に通っていたし、家庭学習もある程度は自分から主体的にやっていましたが、親から「勉強をしろ」と強制されるのは辛かったです。普段からきちんと勉強をしてるし、模試ではそれなりの点数を出しているのに、「ここまでテキスト終わらせなければテレビ見ちゃダメよ!」と言われることに、かなりの違和感を感じていました。
学校の宿題については、宿題をやらなければ学習についていけないわけでもないし、親の監視下にはなかったので、まったくやっていませんでした。担任から親に「塾に行かせるのもいいですが、学校の宿題もやらせてください」というクレームが行ったようです。

編集部A:B子さんの場合は、もともと学習意欲のある学童だったと言う事だが、やはり母は、典型教育ママだったと言う事らしい。B子さんに関してはもともと学習意欲がある学童だったので、無理に親の欲望を押し付けないで、B子さんの望む方向に進めてよかったと思います。

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9、B子さんの一人暮らし

編集部A:B子さんは都内で実家暮らしだったのにもかかわらず。ご本人の希望で独立されたそうで・・・

B子さんの回答

社会人になって一人暮らしをしましたが、理由は「自立してみたかったから」というだけでした。実家を出ていかないといけない理由もなかったし、会社が遠いなどの一人暮らしをしなくてはいけない理由もありませんでした。なので、周りからはよく、「ただの無駄遣い」と言われました。

「都内に実家があるのに、一人暮らしをする意味がわからない」とか、「自分の実家が都内だったら絶対に一人暮らししないでそのお金で遊ぶ」とも言われましたね。そう聞くたびに、「自立すること」は他の人にとっては喜びではなく、「やむを得ず」やっていることで、みんな、できれば親に甘え続けてたいって思うものなのね...と自分との違いを感じました。

私の場合、親に甘え続けていると自分が未熟な気がして、オトナになりたくて自立したい!と思うようになりました。頼めばなんでもやってもらえるので、「なんだか申し訳ないなあ」とさすがに思うんですよね。

編集部A:B子さんにとって、その時、一人暮らしをする事が「快」であったからそうしただけで、別に親から促されたとか、追い出されたわけでもないですしね。自然な流れの中にあっただけって事ですね。

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10、B子さんの母って?

編集部A:オールOKする母って娘から視点でみてどうですか?

B子さんの回答

私の母は、オールOKには頑張って取り組んでましたが、娘の私からすると「敏速さが足りない」状態でした。

というのも、私が何か新しいことにチャレンジしたいと思って親に伝えるときは、元々母は心配性というのもあるのですが、必ず顔色が曇るんです。最終的には絶対にOKが出るので、こちらも主張を諦めることはないのですが、恋愛関係や留学など、特に母親が全く経験したことのないことについては、初めから「そう、いいわね」と賛同してくれないときばかりでした。

「心配しなくていいよ、信頼してほしい」と何度も伝えてきましたが「心配をするのが親の役目なんだから、しょうがない」と言われ、がっかりさせられることもありました。

かといって、心配をしてほしくて相談をしているときに限って、全く取り合ってくれないときもあるし、「オールOKで育てなさい」とインテグレーター(精神分析家)に言われているはずなのに、一体、何を学んでるんだろう」と不満に思う気持ちもありました。

この「心配しすぎてしまう事」は、「心配するのが母親の役目」、つまりは、「心配しない親なんて母親とは呼べない」というような、母の価値観が関係しています。この価値観のことを精神分析ではコンプレックスと呼びますが、オールOKに取り組んでいるからといっても、コンプレックスが邪魔をしている限りは、全てに対してOKを出せるようにはならないんだな、と身をもって知りました。

ただ、コンプレックスと向き合いながらも、できるだけオールOKしてあげようと努力をしてくれているところや、私がやりたいと言ったことには、なんだかんだ言っても最終的にはOKを出してくれて、必要であれば経済的な援助もしてくれた両親には、とても感謝しています。

編集部A:B子さんの母も最初から完璧なオールOKが出来ていたわけでもないが、娘には、母の奮闘ぶりは十分に伝わっていた様だ・・・。

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11、B子さん視点で、オールOKされた自分と他者の違い

編集部A:B子さんはオールOKをされて育った本人なのだが、そういう人から見て、オールOKされて育っていない人との違いは顕著なものがあるのだろうか?

B子さんの回答

オールOKの有用性は、なんといっても、主体性のある人を育てられることです。「誰かが言うから」とか「社会で評価が高いから」とか「親が喜ぶから」とか、他人の価値観に合わせてしまうような理由ではなく、「自分がやりたい」「自分が欲しい」という理由のもとに行動していける人を育てられます。

そして、人生で自分にとって何が一番大切なのか、を常に感じながら、前を向いて進んでいくことができます。

私がベビーシッターをしていたアメリカでは、もともと自主性を重んじる文化ではありますが、どんな考え方にも、どんなファッションにも、OKを出すような文化でした。

そのせいか、子どもの自己主張、好みはとてもはっきりしていて、「これはイヤ」「これがしたい」という決断がきちんとできる子供たちでした。

自分で決めた道なら、責任感を持ってやりとげようと思えるし、自分で選んだからこそ、その先に達成感や満足感があるのだと思います。

私も基本的には何でも自分で決めるし、自分で決めたことには誰もが応援してくれると思っています。レストランに入ってメニューを決めるのも早いし、洋服屋で自分の着たいものを選ぶのも早いです。悩むことはあんまりありません。

なので、進路や仕事を決める際も、友達や彼氏に「今、こう考えている」と報告をすることはあっても、結論はほとんど自分の中で決まっていることが多いです。アドバイスのし甲斐はないでしょうね。そんな私を見た友達からは、「自分の好きなものがわかっててうらやましい」と言われます。

社会で働いていても「あなた自身の考えはないんですか?」と思うような人に多数出会います。そういう人は、きっと今まで、主体性を尊重されてこなかったのでしょう。

母親との関係は、私が年を重ねるにつれて心配しすぎる気持ちは減り、今ではお互いに尊重しあえる関係性が築けています。そして、何を報告しても批判はされず、常に喜んで応援してもらえます。親が承認・賞賛をしてくれるので、友達や上司に褒めてもらいたいがために、好きでもないことをすることはありません。

編集部A:昨今、伝わってくる「若者像」は「草食系」「自分さがし」「何をしていいのかわからない」などというワードが思い浮かぶ。諸国に比べれば、貧富の格差が絶対的であるでもなく、治安もよく、表現の自由が保障され、昔に比べれば正社員へのハードルは高くなったにせよ、そこらじゅうで銃口が市民に向けられたり、テロ活動が活発な国でもないのに・・・なぜ?

残念ながら、生まれてこのかた、どんだけ欲望を抑圧され、主体性を潰されてきたんですか?と言う問いに突き当たってしまう。

これは念の為、B子さんに確認したのだが・・「オールOK」で育てられた人って心の病にならないのかな?育てられた方としてはどうですか?・・と問うてみた。

B子さんの回答

完全な「オールOK」で育てば心が病になる要素は0です。沈んだ気分はあっても、病にはなりません。

編集部A:あぁー!私も「オールOK」で育てて欲しかった。

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12、編集部Aの考察 未だに戦争トラウマ 精神も経済も

今月の月刊 精神分析は「オールOKされた育ったB子」さんの協力を得て、今再び「オールOK子育て法」を語ってみました。ありがとうございました。

「オールOK子育て法」の趣旨に則って育児や保育をしてみても、イライラしてしまって、子どもの欲望・欲求に、迅速に応えられないとおっしゃる方が殆どです。インテグレーター(精神分析家)のセラピーによって自分自身のコンプレックスを解消しながら、子どもさんに対応されている方々が殆どではないでしょうか?

自分自身が、親から散々抑圧されて「あれしちゃダメダメ、これもダメ」とオールNGで育てられた人に、我が子どもに対して承認・称賛しろと言われても、そりゃ出来ないと思います。現実に私の両親もそうでした。彼らの生きた時代は、戦前、戦中、戦後で、物資が欠乏、思想も統制、「自由」とか「人権」と言う概念もなかった「欲しがりません勝つまでは」世代で、そんな価値観の時代を生きた世代が子どもにどんな教育を施すかは言うまでもありません。言ってみれば戦争トラウマが戦後70年を過ぎた現代の日本社会を支配している。日本人の精神性を蝕んでいると言っていいと思います。

ここで、ちょっと経済の話をしてみたいと思います。先の参議院選挙で、日本国民はアベノミクスの続行継続を支持したと言う事になっています。かつての高度成長期を懐かしく思う昨今ですが、そんなに簡単に経済がインフレ化するでしょうか?

僕たち(1960年代前半生まれ)は、石油ショックは経験したものの、東京オリンピック、大阪万博、高度経済成長を体験した世代で、1985年に就職。1990年のバブル崩壊。以降、デフレ経済をも体験しました。丁度、半分インフレ、半分デフレを体験しています。

資本主義社会に於いては緩やかなインフレが好ましいと言われています。

バブル経済は行き過ぎ感はありましたが、高度成長期の余韻を感じる経済成長が継続できていれば、今、日本社会で顕在化している多くの課題が問題化しなかっただろうと思われ、今の日本のネガティブな有様の原因は政治の失敗だと思えて仕方ありません。そうあの時代は「消費は美徳」って言われた時代です。

平成生まれの方はご存知ないでしょうが、バブル期は、普通のサラリーマンでさえ、35年ローンで家やマンションを購入していたし、当の私でさえ300万円もする高級車を分割払で所有していました。今は当然そんな事しないで、むしろ、カーシェアを考えています。高度経済成長期は、基本的に、物の値段が上がっていく(インフレ)ので、放っておくとお金の価値が目減りします。それならば、価値が高くなる(維持できる)土地や株や金を買っておこう、投資しておこう、どうせいつかは買うのだから早めに手に入れようと誰もが考え「マンション」「車」「高級高額商品」が飛ぶ様に売れていました。常に企業の業績は前年度プラスが当たり前。こんな経済状態で、人々がしょんぼりしている・・・なんてことは絶対ないです。

それで、土地やマンションは永遠に上がり続けるという「土地神話」ができて、不動産関係者やそれに纏わる金融関係者はボロ儲けができたわけです。バブル期に就職を控えた若者の多くは不動産や金融関係を目指したのは当たり前。

ところが、ある日突然、金融緩和から緊急引き締め。まるでババ抜きゲームの様に、焦げ付きそうな債権の押し付け合いが起こって、土地もマンションも株も暴落。

こうして、現在の所謂、高齢者と言う人達は、戦争の敗戦と敗戦処理を体験し、金との付き合い方でも痛い目を味わったわけです。高度成長期に汗水垂らして蓄えた資産がパーになった人たちも普通にいました。かくいう私もバブル期に購入したマンションのローン返済には4年かかりました。めっちゃつらかったです。

現在、日本人の総貯蓄額は1400兆円あると言われています。財政破綻したどこかの国とは違います。高度成長期に焼野原から立ち上がった日本人が汗水垂らして貯めた金が「1400兆円」ですよ。ところが、今、経済が成長しないので、この金が、低所得者や若年層に回らないわけですよ。更にまずい事に、若年層が抱える有利子負債が増えているそうです。

健全に働いて、健全に消費をすれば、さして将来のお金の心配をしなくていいような世の中にならないものでしょうか?

「倹約は美徳」とする人たちが膨大な金を抱え、戦争トラウマ、金融バブルトラウマに苛まれている間は、真に日本に幸福が来る事はない。

変なトラウマを抱えていない新生日本の若人に国家再建の望みをつなぐしかないと思います。

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13、おわりに

今月の月刊 精神分析は、B子さんとの出会いをきっかけに「オールOK子育て法」を再考察しました。

子育てでお悩みの方は、お近くの精神分析家(インテグレーター)にご相談頂いたらと存じます。

では、また来月お会いしましょう。

ご意見ご感想は、

lacan.fukuoka@gmail.com

でお待ちしています。

2016年平成28年11月30日

月刊 精神分析 編集部A

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14、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク



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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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