アメリカ大陸横断

1、はじめに

みなさん、こんにちは、月刊精神分析 編集部Aです。

昨年、2009年11月号の月刊精神分析の特集は「精神分析を受ける」でした。

それは、私、月刊精神分析編集部Aが惟能先生の精神分析(セラピー)を受け始めた事をソースにして、精神分析家でも、クライアントでもなく、第三者の立場で「月刊精神分析」を編集発行してきた私自身の心を視点に「精神分析」を解説しました。

私は、あれから現在も月1回のペースでの精神分析を継続しています。

その中で、惟能先生と会話をし、惟能先生から指摘されて「あぁそうか!」「やっぱりそうか」等と、自分が考えもしなかった事を指摘され納得したり、自分自身がうすらぼんやり、そうではないだろうか?と考えていた事を、肯定していただいた事など、沢山の事がありました。

なるほど、第三者に自分が日頃、思っている事、つい口にでてしまうフレーズ、就寝中に見た夢などを話す事によって、自分の無意識、深層心理、コンプレックス(複合観念体)を解き明かしていく精神分析は大変面白いモノだと思いました。

なにしろ、自分自身が意識できないから「無意識」であって、その「無意識」の上で私たちは生活しています。最近、車の運転について考察する事が多いのですが、街中を行き交う人々の行動を観察してみて下さい。自転車、オートバイ、車、バス、トラック、そして歩行者。運転行動と無意識は大きな関係があって、大きな事故も少なからず無意識が影響していると思います。・・・話が逸れましたが・・・。

今月号の、月刊精神分析は「アメリカ大陸と精神分析」と題して、私の一ヶ月に及ぶ、アメリカ横断旅行(自分探しの旅)をソースに「精神分析」に迫ります。

それでは、次のページで登場人物の紹介をします。

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2、登場人物プロフィール

惟能創理(いのうそうり)
日本初のインテグレーター(精神分析家)
喜道 進・編集部Aのスーパーバイザー 。
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喜道進近影
喜道 進(きどう すすむ)
本名:竹田 雅信(たけだ まさのぶ)
1950 (S.25)1月生まれ(二男一女の父)
1996 (H.08)惟能創理氏より教育分析を受ける
2006 (H.18)精神分析家指導者養成講座受講
2006 (H.18)竹田精神科学研究所を設立
2008 (H.20)千代田区神田小川町に東京研究所を開設
2009 (H.21)埼玉県熊谷市籠原南に埼玉研究所を開設
現在、池袋コミュニティ・カレッジ講師。東京千代田区・熊谷市において多くの人の心のケアを行いながら『人間学講座』として「暮らしに活かす心理学」「明るい家庭づくり」「指導者養成講座」などをロータリークラブ、ライオンズ・クラブはじめ各所で講演している。
連絡先:takeda.msl@gmail.com
QRCD
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編集部A(へんしゅうぶえー)
月刊精神分析(げっかんせいしんぶんせき)編集部員。
ラカン精神科学研究所福岡支所
1963(S.38)年3月12日生まれ
出身:福岡県福岡市。
コンピューター会社のシステムエンジニア。食品工場の生産管理業務に従事。
飲食店の経営、飲食店の営業職、旅客運送乗務員を経た後、月刊精神分析編集部。
ひょんな切っ掛けから「精神分析」の世界を知り、約三年半色々な書籍を読み漁る。
参考に、惟能の著書の特集サイトへのリンクをはっておきます。

月刊精神分析 2009年01月号 運命は名前で決まる
月刊精神分析 2010年01月号 心的遺伝子論 産み分け法

「月刊精神分析」の編集に関わりながら、惟能創理先生のセラピーを受けている。
連絡先:lacan.fukuoka@gmail.com

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3、アメリカ大陸横断の意味

2010年09月、私は一人でアメリカ大陸横断旅行をしました。

旅行の詳細はこちらを御覧ください。アメリカ大陸Route66バイクで横断ブログ

私は、月1回のセラピーの中で、惟能先生にこの計画の事を話しました。惟能先生から色々質問がでました。「なぜアメリカなのか?」「なぜロスからニューヨークなのか?」などなど。

自分では、何も意識していない(つまり無意識)のですが、行く場所は「アメリカ」行程は「西から東」と決めていました。

極端な話、海外旅行ならヨーロッパに行ってもいいし、中国に行ってもいい。更に、東から西へ移動してもなんら問題はないのに、なぜか自分はまるでそれが当たり前の様に選択している。

考えてみれば不思議ですね。こんな事も第三者から言われないと「何となく」でスルーしてしまう、無意識の話です。

そこで、私は、アメリカに関する私自身の興味を総て書き出してみました。頭に浮かんだものを片っ端しに・・・それが、次のページの一覧です。

喜道進 まずは、25日間のアメリカ大陸横断旅行、お疲れ様でした。「福岡-東京4回半の距離、そんなものか」とサラリと言ってしまう大らかさがもう身についてしまったようですね。たった一人で5000キロを走破した頑張りに驚くばかりです。 

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4、私にとってのアメリカ

『バグダッド・カフェ』
(Bagdad Cafe 原題Out of Rosenheim) は、 1987年制作の西ドイツ映画。
アメリカ旅行の旅行情報を検索していてRoute66沿いの名所として心に留まる。映画の舞台となったカフェは現在も存在する。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
(Back to the Future)は、1985年のアメリカ映画。SF映画。略して『BTTF』『BTF』とも呼ばれる。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの一作目。

バブル期にレンタルビデオ屋で借りて観ました。シリーズ化され大変面白かった事を覚えています。

『白バイ野郎ジョン&パンチ』
(しろバイやろうジョンアンドパンチ、CHiPs)は、1977年から1983年までNBCで放映された、アメリカのテレビドラマシリーズである。全6シーズン。

オリジナルタイトルはCHiPs。日本語吹替えされたドラマを毎週深夜楽しみに見ていました。カリフォルニアのハイウェイを疾走する白バイに見入っていまいした。

『ジョン・F・ケネディ』
ジョン・フィッツジェラルド・"ジャック"・ケネディ(John Fitzgerald "Jack" Kennedy,1917年5月29日-1963年11月22日)は第35代アメリカ合衆国大統領。1961年に大統領に就任したが、任期途中の1963年に遊説先のテキサス州ダラスで暗殺された。「ジャック」は元々家族内での愛称。略称の「JFK」で呼ばれることも多い。

私が生まれて間もなく暗殺されてしまった「ジョン・F・ケネディ」ですが、ジャーナリストの落合信彦氏の著作を介して、彼の精神性に感銘を受けました。

『イージー・ライダー』
(Easy Rider)は、1969年公開のアメリカ映画。日本では「イージー☆ライダー」と表記されることもある。

実は、私はこの作品を通してみていません。ただ、ビデオクリップでBorn To Be Wild(ワイルドで行こう)の曲と共に、改造されたたハーレーダビッドソンを自由気ままに走らせる俳優さんを羨ましく思っていました。

『団塊ボーイズ』
(だんかい -、Wild Hogs) は、2007年のアメリカ映画。ウォルト・ベッカー監督、ティム・アレン、ジョン・トラボルタ、マーティン・ローレンス、ウィリアム・H・メイシー主演作品。

たまたまYoutubeでビデオクリップを見てしまってハマりました。DVDを買って堪能しました。青春時代、『サタデー・ナイト・フィーバー』(Saturday Night Fever)や『グリース』(Grease)でお馴染みだったジョン・トラボルタを含む中年4人組のがハーレーダビッドソンで旅にでる映画です。

『ジェームズ・ディーン』
ジェームズ・バイロン・ディーン(James Byron Dean、1931年2月8日 - 1955年9月30日)は、アメリカの俳優。身長175cm。ジミー・ディーン(Jimmy Dean)とも呼ばれる。
ジェームス・ディーンも、よく考えると彼の主演映画を見たわけでもなく、テレビで出演作品の一部分をみていただけです。しかし、何故かしら「理由なき反抗」 のチキンレースのシーンは鮮明に覚えています。

『ラスベガス』
(Las Vegas スペイン語:ラス・ベガス、アメリカ英語:ラース・ヴェイガス)は、アメリカ合衆国西部のネバダ州南部にある同州最大の都市。気候は砂漠気候。

『グランド・キャニオン』
(Grand Canyon)はアメリカ合衆国アリゾナ州北部にある峡谷である。コロラド高原がコロラド川の浸食作用によって削り出された地形であり、先カンブリア時代からペルム紀までの地層の重なりを目の当たりにできるところでもある。地球の歴史を秘めている価値と共に、その雄大な景観から合衆国の初期の国立公園の一つであるグランド・キャニオン国立公園に含まれている。さらに1979年には世界遺産に登録された。

『ロスアンゼルス』
(英語:Los Angeles)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州の都市。ニューヨークに次いで全米2位の人口規模を持ち[1]、アメリカ西海岸を代表するグローバル都市である。

『サンフランシスコ』
(英語: City and County of San Francisco)は、アメリカ合衆国西海岸にある、カリフォルニア州の北部に位置する都市であり、アメリカ西海岸を代表するグローバル都市である。

『チェッカーズ』
THE CHECKERS Song for U.S.A.・・・青春期に巷て流行していたいのは、郷土福岡出身のチェッカーズの曲であった。その中でも、アメリカ、サンフランシスコを連想させるSong for U.S.A.が思い出された。

『博多一風堂』
博多一風堂(はかたいっぷうどう、英語:Ippudo)は、福岡県福岡市中央区大名に本店があるラーメンチェーン店である。株式会社力の源カンパニーが経営している。

私は一時期、ラーメン業界で働いており、一風堂代表取締役の川原さんの著書も読んだ事があった。ニューヨークに支店を出しており、渡米する機会があれば是非訪問したいと思っていた。

『ハーレーダビッドソン』
(Harley‐Davidson) は、ウィスコンシン州ミルウォーキー市に本部を置くアメリカ合衆国のオートバイ製造会社である。通称ハーレー。

喜道進 『ハーレーダビッドソン』は、私のクライエントさんが就職した会社なので、一段と親しみを覚えますが、かれもそのエンジン音の素晴らしさにほれ込んでいて、ハーレーを語る時の熱意はハンパではなかったですから、今回のアメリカ大陸横断旅行には一段と親しみを覚えます。風景にハーレーはすっかり溶け込んでいましたね。

若借りし頃はバイクに乗っており、いつかは大型バイクに乗ってみたいと思っていた。渡米を前に、大型自動二輪免許を取得し、現実にハーレーダビッドソン ロードキングにまたがり、アメリカ大陸横断を成し遂げる事になった。

『国道66号線 (アメリカ合衆国)』
(U.S. Route 66)は、1926年に創設されたアメリカ合衆国の国道であった。単にルート66(Route 66)とも呼ばれていた。全長は3,755km(2,347マイル)。イリノイ州シカゴとカリフォルニア州サンタモニカを結んでいた。同国南西部の発展を促した重要な国道であったが、1985年に州間高速道路の発達によりその役目を終え、廃線となった。

Route66には特別深い思い入れはなく、アメリカの旅行情報を収集中にその存在を知る。

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アメリカに関するキーワードを書き並べてみるものの、強烈な印象があってどうしても会いたい人がいるとか、行きたい場所があるわけではない・・・。だから、旅行の予定も、三週間位で、往復の旅客機の航空券を購入するだけのシンプルなものとなった。Route66のアトラクションは、フリーウェイを走るだけではつまらないから、アメリカの歴史を楽しむ上ではRoute66を走るほうが面白いだろうと言うレベルの話で、特に、見逃せないスポットがあったわけでもない。現実に、Route66沿いの名所はチェックしたものの、見逃して凄く悔しい思いをしたと言う記憶もない。そもそもRuoute66はディズニーランドではないのだから。

・・・となると、なぜ私は、多額の費用と時間を捻出して、アメリカ大陸横断をしようと思ったのか?いや、もっと言えばしなければならなかったのか?ここで思い出したのが私が20代から30代にかけて大いに関心をもった『浮谷東次郎』と言う人物の存在である。

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5、浮谷東次郎

まず、簡単に『浮谷東次郎』の紹介をしましょう。

(うきや とうじろう、1942年7月16日 - 1965年8月21日)は、千葉県市川市出身のレーサー。東京都立両国高等学校中退の後、渡米、留学。帰国後、日本大学農獣医学部中退。

千葉県市川市の名家に生まれた東次郎は、なに不自由のない・・・と言うより、周囲からは羨ましがられる環境で育つものの・・意を決し、両国高校を休学し、アメリカに留学する。アメリカを放浪した彼は、ニューヨークに着いた。ロックフェラーセンタービルを見上げて、彼はこう言ったと言う「僕の清いファイトを認めて欲しい」「マドンナ宝石ならず、俺様の宝石さ」・・と。帰国後、自動車レーサーとして活躍する。鈴鹿サーキットで練習走行中、不慮の事故により僅か23歳で死亡。

『栄光なき天才たち』(えいこうなきてんさいたち)は、「週刊ヤングジャンプ」に、1986年から1992年に連載された、作:伊藤智義(一部)、画:森田信吾の漫画作品である。単行本第11巻、12巻で浮谷東次郎は、伝説のカーレーサーとして紹介されている。

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青春期、誰しもがクルマやオートバイに興味を持つと思いますが、私は「浮谷東次郎」に大変興味を持ちました。彼の著作、
がむしゃら1500キロ―わが青春の門出 (ちくま文庫)
俺様の宝石さ (ちくま文庫)
を購入して読みました(彼の著作は文庫本化され今でも入手可能です)。

浮谷東次郎は、メディア上、日本自動車工業会の草創期の悲運の名レーザーとして紹介される事が多いのですが、私にとって彼は、青春期の悩みを共有した兄の様な存在であったと思います。年令は親子程の開きがありますが、彼の著書を読むと、恵まれた環境の中、成長していく彼が、母:和栄さんを「おかぁちゃま」と呼び、父:光次郎氏(日本ポルシェクラブ初代会長)に対抗心を持ちながら悩んでいる様子がわかります。それは、精神分析の世界でいう「エディプスコンプレックス」であったのだなと今は理解する事ができるのですが・・・。勉学や、進路選択、職業選択、交友関係など、誰しもが悩み苦しむ事の多くについて、彼の考えに共感しました。

多分、平成元年位だったと思います。当時、私は、福岡のソフトウェア会社に勤務しており、東京出張の際に市川の浮谷邸(当時は教会となっていた)を訪問し、浮谷東次郎の母。和栄さんに会った事があります。今から考えるとアポなして大変失礼だったと自分を恥じているのですが、「この人があの浮谷東次郎のおかぁさんなんだ」と感激したのを覚えています。意志の強そうな眼力のある瞳が印象的で、所作、立ち居振る舞いもすごく上品な方であったと記憶しています。

私が浮谷東次郎が堀川辰吉郎(孫文とともに、革命成就のために中国大陸を駆け巡った人物)の外孫の一人と知るのはそのずっと後の事で、「あぁ、浮谷和栄さんは堀川辰吉郎の娘だったんだ!」大変驚く事になりました。

追記、私が浮谷和栄さんに会った時、「貴方が近くのお住まいなら、是非、教会の合唱団に参加して頂くのに・・・」と言われました。その後、何度かお手紙のやりとりをする中で、「福岡の教会に素敵なお嬢さんがおれるので、宜しければ紹介しますわよ」と認められていたのを思い出しました。笑。その件は丁寧にお断りをしました。後年、浮谷和栄さんは教会の活動を熱心にされていて、東次郎ファンの中の仏教系の方とのギクシャクした関係もあったときいた事があります。

あの上品な立ち居振る舞い、そしてあの目・・・。誰も和栄さんを止められはしなかったに違いない。だって、浮谷和栄さんは、あの「堀川辰吉郎」の娘にして、あの「浮谷東次郎」のおかぁちゃまなんだぜ。誰も歯が立つ筈がない。^^

喜道進 浮谷東次郎については、詳しく調べましたね。お母さんにも面会されているとは驚きです。「彼の考えに共感している」ということは、Aさんが彼を同一視し、理想自我として見ているということです。

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6、俺様の宝石と「ファルス」

浮谷東次郎の事を思い出してから、自分のアメリカ大陸横断の旅の意味がわかりました。

つまりこうです。私は、浮谷東次郎の後を追って、アメリカ大陸に渡り、西から東にオートバイで大陸を横断し、ニューヨークに行って、ロックフェラーセンタービルを見上げ、「俺様の宝石」を手に入れようとしているのだと。


以下引用------------------------------------------------

夕やみ迫るロックフェラーのRCAビルの前、高級な野外スケートリンクに一人のガニマタの下手くそな背の低い男が、腕をうんとまくりあげて、「ちくしょう、ロックフェラーなんか」と、たまらなくなる気持に押されて何度も何度も転びかけ、転び、また尻をでっぱらして、立ち上がり、そこを出る時にはビッコをフラフラひかなくては歩けなくなるまで、休まず、うまく滑ろうと努力しながら、新しく、清いファイトを、勇を、ふるいたたせた僕を理解し、認めてもらいたい。--マドンナの宝石ならず。俺様の宝石さ。

以上引用------------------------------------------------


行く場所は、アメリカ大陸。
方向は、西から東。
移動手段はオートバイ。
行動は一人で。
目的地はニューヨーク。
見上げるものは、ロックフェラーセンタービル。

自分が無意識に決めていた事、もしくは選択した事は、既に20年前に、自分自身の無意識にプログラムされていたのでした。

そして、もう一つわかった事は、「俺様の宝石」とは、「ファルス」だと。

ウィキペディア (Wikipedia) でファルスをチェックすると、ギリシャ語で「ふくらんだもの」のこと。男性の性器、男根を意味する言葉。特に勃起した状態を指す→ファルス (性) と出てきます。

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注釈:精神分析用語でファルス(Phallus )というと、ファルス的シンポルは男性の生殖力を表すことを意味している。ジークムント・フロイトの精神分析学理論によると、男性は1つのペニスを所有する一方、誰も象徴的ファルスを所有することはできない、とされる。ジャック・ラカンは『エクリ』の「ファルスの意味作用」の中で、ファルスで「あること」と「持つこと」の相違を述べている。男性はファルスを「持つ」と見られる限りにおいて男性と定められる。ファルスを持たない女性はファルスで「ある」と見られる。象徴的ファルスは本源的な男で「あること」、ならびに、神の恵みを持つことと同等の「持つこと」の概念である。超高層ビル、塔、煙突は一般的なファルス的シンボルである。・・とある。
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世界一高いビルの推移は、
1930年 クライスラービル ニューヨーク 319m
1931年 エンパイアステートビル ニューヨーク 381m
なので、東次郎がニューヨークを訪れた時にはエンパイアステートビルがもっともファルスを象徴した筈なのだが、彼が清いファイトの承認を求めた時に、見上げる高層ビルとして、なぜロックフェラーセンタービルを選択したのかはわからない。私なりに推測すれば、将来、事業家を目指したであろう彼が、世界一の資産家ジョン・ロックフェラー2世が資金提供したロックフェラーセンタービルを見上げたのはある意味、至極当然かもしれない。

喜道進 ニューヨークに行って、ロックフェラーセンタービルを「見上げる」という行為は「高いもの」を目指し、シンボルとして心の中に樹立し、憧れの目で「いつかきっと自分も」、という気持ちからでたことなのですね。

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7、固着した時計

実際に、ロサンゼルスから砂漠地帯を超え、浮谷東次郎が走ったであろう、旧道(Route66)をバイクで走り、ニューヨークに入り、ロックフェラーセンタービルを見上げると、

「浮谷東次郎はやはり、浮谷家ありきの自分ではなく、自分の足で立ちたかったのだ。世界一の資産家ロックフェラーのファルスを見上げ、今に見ていろ!と勇気を奮い起こしたのだ」

と実感する。彼が、両国高校を中退して渡米した意味がよくわかった。浮谷東次郎は、浮谷家の長男ではなく、一個の男として、強大な成功者ロックフェラーのファルスにその精神性で対峙したのである。

帰国して、セラピーの時に、惟能先生に、浮谷東次郎の話をすると、先生は私にこう言ったわれました。

「貴方は、固着した時計を動かしたかったのですね。貴方の時計はそこで止まっていたのです。時計を動かしましょう。」・・・・と。

喜道進  ロサンゼルスから砂漠地帯を超えてハーレーを疾走させている姿は、ロックフェラーセンタービルを見上げた浮谷東次郎に自分を重ね合わせているAさんの姿そのものなんですね。

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8、旅と「無記名の私」

アメリカ大陸横断の旅を考察した時にもう一つ思い出した事がある。

私は、かつて、大学の卒業旅行と称して、九州福岡から独りでオートバイで北海道旅行へ出かけた事があった。その時も、どうしても会いたい人や行きたい場所があったわけではなかった。ただ「就職してしまえば、長期の休みも取れないだろうし、行くなら今しかない」と言う気持ちがあった。

そして、今、振り返ると、それは「自分の存在を証明したい」と言う気持ちがあったのだと理解できる。

事実、親元を三週間も離れ、一人で自己責任でリスクを背負って誰の助けも借りず、九州から北海道に行って戻ってくる旅は、就職する前に「自分に自信をつける旅」であったし「親の助けがなくても自分が一人の人間として存在するのだ」と言う証明、証(あかし)を獲得する旅であったのだと思う。

あれから25年経って、今度は、親元ではなく日本と言う国(母国)を離れ、誰の助けもない一人旅の決行を自ら決意し実行した。その意味はなんなのだろう。

帰国後、惟能先生は私に言いました。「貴方は無記名の自分になったのですね」と・・。

そう、確かにそうなのである。

アメリカ大陸の荒涼とした大地に独り立つ。何も無い。ただ自分とオートバイがあるだけ。目前に見えるのは、荒涼とした大地のみ。自分の他には、誰一人いない。

「ここは火星か?」

ここでは、自分の社会的立場もなければ、国籍も、男である意味もない。まったく意味を持っていない、ただ己の生があるだけ。

先生曰く「貴方は無記名の自分になったのですね」・・

そうだ。ただ単に自分が存在するだけ。誰から生まれたのでもない。なんの宗教をしているでもない。どこの国に生まれたのでもない。肌の色が濃いとか薄いとか、そんなものは単なる相対的な基準で、今、ここに独りでいるこの瞬間、なんの意味もない。

ただ単に自分がいる。無記名の自分がいるのだ。

私は死んだ。そして、私は生まれた。これから、自分で自分に意味をつけていけばよい。
強いて言えば、今は、アメリカ単独横断を成し遂げた自分が生まれた。そう言う意味を自分で付けた自分が存在する。独りで旅をするとはそう言う意味があるのだ。

喜道進  「無記名の自分になる」ために人は旅に出るのですね。人は死につつ生きる、「crash&buildなのです」、と惟能先生の講座で教わったばかりです。

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9、ヒーロー伝説

あともう一つ付け加えておきます。

世界的にヒットしたSF映画「スターウォーズ」の脚本は、神話の世界観を元に作られたという。それも、欧米だけではない。世界中のお伽話、寓話、物語を研究したと言う。

その結果、そこには普遍的な物語が存在したと言う。

主人公は、未熟だが、独り旅にでる。困難に立ち向かい、成長していく。成功体験を持って、生きて帰ってくる。

それが英雄だと。

日本でも、一寸法師、桃太郎、はこれに当てはまるキャラクターであるし、テレビゲームのストーリーは、難関のステージをクリアしピーチ姫を救出する物語が織り込まれています。

人の精神の発達や成長に「旅」は欠かせないものなのかもしれません。

喜道進  今回の旅は、かなり、危険と困難と悪天候、睡眠不足、体調不良などなど、多くの困難に見舞われた旅だったようですが、やはり浮谷東次郎への想いがAさんを支えていたように思います。Aさんにとって浮谷東次郎が「対象a」ということになります。

注釈:『対象a』は精神分析家ラカンが唱えた概念の一つで、"欲望の対象"という意味があります。去勢によってぽっかり空いた穴を、ラカンは「対象a」と名付けた。対象aは、欠如を埋めようとする欲動を惹き起こす。

『ひぐらしのなく頃に解』の新エンディングの『対象a』

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10、終わりに

アメリカ大陸横断の旅を終えて帰国し、私の新生活は既に始まっています。

新しい仕事は生活時間帯が通常の市民生活とはズレている為、慣れるのに少々時間がかかるようです。

渡米し、帰国してから、急に自分が別人になったわけではありませんが、自分で自分を語る時「アメリカに一ヶ月行っていて帰国したばかりなんです」と言う自分は、どこか、自分を誇らしく感じている様でもあります。

今、私が思っている事は、アメリカ横断したからといって特に、自分が精神的に強くなったとも思えないし、相変わらず、苦手なものは苦手であるし、好きなものは好きな様な気がします。笑。

しかしながら、上記は総て私の「意識」上の事なので「無意識」がどう変化しているのか?私自身にもまだわかりません。

自分の中の固着していた時計が動き出すと言う件もまたしかりで、時計は動き出すのか?動き出した時、自分はどうなっていくのか?まだわかりません。

それは、今後の、セラピーの結果報告の中で語っていきます。

「自分探しの旅」という言葉があります。「自分探し」+「旅」がセットになっているのを私流に解釈すると・・・自己認識は、今の生活環境からの離脱、更に柵(しがらみ)から離れる事が前提であるのではないでしょうか?

しかしながら、人は社会的な生き物であるから、旅が終われば、また、各々の生活環境に戻って、新しい生活環境の中で自分を見つめていくのであろう。

続号の月刊精神分析を楽しみにしていて下さい。

喜道進  人は一度死んでまた生き返る。「旅に出ることによって、人は自分を探すことが出来るのだ」と言う事を、Aさんの記録は語っています。膨大な量の記録をPCで原稿として記録し、後半は手書きで残されましたが、その中から、アメリカ人の親切さや、人がら、明るい表情までもが、さりげない会話やしぐさの描き方から伝わってきます。本当にお疲れさまでした。

ありがとうございました。^^

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11、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク



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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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