グリム童話・白雪姫タイトル画像

1、はじめに

みなさん、こんにちは月刊 精神分析編集部Aです。

今月は「母娘関係」を取り上げます。

私は男性ですので、なかなか理解し辛い面もあるのですが、私が育った環境も嫁姑(よめしゅうとめ)関係がうまくいっておらず、家庭の雰囲気がよろしくなかった記憶があり、少年期の事を思い出そうとすると憂鬱な気分になります。

精神発達上避けて通る事のできない「母娘関係」を取り上げます。

平成25年02月28日 月刊精神分析編集部 A

ご意見ご感想は、lacan.fukuoka@gmail.com までお願いします。

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2、登場人物

A子さん一家(えーこさんいっか)
父:昨年他界
母:
長女(A子):独身。現在、母の面倒をみている。
次女(B子):既婚子ども有り。
長男(C雄)の5人家族。

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グリム兄弟(ぐりむきょうだい)
グリム兄弟(独: Bruder Grimm)は、19世紀にドイツで活躍した言語学者・文献学者・民話収集家・文学者の兄弟。
日本では、『グリム童話』の編集者として知られる。
大人になるまで成長した兄弟としては男5人、女1人の6人兄弟であったが、通常は後世にまで名を残した長兄ヤーコプと次兄ヴィルヘルムの二人を指す(今日では後述の末弟・ルートヴィッヒも含むこともある)。
多くをヤーコプ・ヴィルヘルムの兄弟として活躍したが、グリム童話集ではルートヴィヒも挿し絵を手がけている。
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東ちづる

東ちづる(あずま ちづる)
1960(S.35)年6月5日生まれ
出身:広島県因島市(現・尾道市)。
関西外国語大学短期大学部卒業。
日本の女優、タレント。
会社員生活を経て芸能界へ。テレビドラマやラジヲ出演の他、司会、講演、エッセイや絵本の執筆、着物デザインなど広い分野で活躍している。
プライベートでは、骨髄バンクやあしなが育英会、ドイツ平和村などのボランティア活動を続ける。 主な著書に「わたしたちを忘れないで ドイツ平和村より(ブックマン社)、ビビってたまるか(双葉社)、マリアンナとパルーシャ(主婦と生活社)、〈私〉はなぜカウンセリングを受けたのか 「いい人、やめた!」 母と娘の挑戦(マガジンハウス) - 長谷川博一との共著。

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惟能創理(いのうそうり)
日本初のインテグレーター(精神分析家)
編集部Aのスーパーバイザー 。

1951(S.26)年 埼玉県熊谷市に生まれる
1992(H.04)年 大沢精神科学研究所設立
1992(H.04)年 道越羅漢(みちおらかん)となのる
2008(H.20)年 LAKAN精神科学研究所に名称を改める
2008(H.20)年 惟能創理(いのうそうり)に改名する
著書紹介:
月刊精神分析 2009年01月号 運命は名前で決まる
月刊精神分析 2010年01月号 心的遺伝子論 産み分け法

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迎意愛近影

迎意愛(むかいあい)
精神分析家。シニフィアン研究所(埼玉県上尾市)主宰。
1954年和歌山県生まれ
2011年10月より埼玉県在住。二女の母。
奈良教育大学卒業するも、教師にならず、営業職に就く。結婚、義母の介護。
物心ついた時から生きる意味を問いかけ、38歳の時、精神分析に出会う。
精神分析により、自己を知ることで、生きる意味を見出せると確信し、惟能創理氏に師事する。
女であることの素晴らしさと重要性を痛感し、自らも精神分析家(インテグレーター)となる。
自らの体験と「オールOK子育て法」を引っさげ、女たちよ賢明であれと全国を行脚するべく奮闘中。
連絡先:signifiant1@gmail.com

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安朋一実近影

安朋一実(やすともかずみ)
精神分析家。ラカン精神科学研究所(滋賀県大津市)主宰。
1958(S.33)年4月22日生まれ。
出身:滋賀県大津市。二女の母。
神戸親和女子大学児童教育学科(兵庫県神戸市)卒業。
会社勤務の後、結婚し専業主婦になる。
二女の子育てに悩み惟能創理先生の精神分析治療を受ける。
インテグレーター(精神分析家)養成講座を受講の後、独立開業。
現在、新進気鋭の分析家として、引きこもり不登校の子供を持つ母親を全力で支援している。
同研究所は「京都府ひきこもり支援情報ポータルサイト」の支援団体として登録。
メルマガ発行:子育てメールマガジン 育児法 引きこもり 家庭内暴力 非行 不登校
連絡先:lacan.msl@gmail.com
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編集部A(へんしゅうぶえー)
月刊精神分析(げっかんせいしんぶんせき)編集部員。
ラカン精神科学研究所福岡支所
1963(S.38)年3月12日生まれ
出身:福岡県福岡市。
コンピューター会社のシステムエンジニア。食品工場の生産管理業務に従事。
飲食店の経営、飲食店の営業職、旅客運送乗務員を経た後、月刊精神分析編集部。
宗教色の強い家庭に生まれ育つ。
中学校1年生の時にクラスの数人からいじめられ転校した経験がある。
二十代の頃、原因不明の疾病に苦しむが転地療法にて完治した経験から、心の作用に興味を持つ。
ひょんな切っ掛けから「精神分析」の世界を知り、約三年半色々な書籍を読み漁る。

現在「月刊精神分析」の編集に関わりながら、惟能創理先生のセラピーとインテグレーター養成講座を受けている。

性格分析:自己分析、コンピューターのSE(システムエンジニア)をしてきただけあって、緻密な作業ができるA型(血液型)人間である。自分の部屋はちらかっていても許されるのだが、漫画本の1巻から・・はきちんと順番通り並んでいないと気が済まない。物事は手順を考えて、1から順番に進めていく。よって「適当にやってみて駄目でした」という事は出来ない人で、やるからには成果が出ないとかっこ悪いと感じ、失敗を恐れるタイプである。
連絡先:lacan.fukuoka@gmail.com

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3、事例(ある家族の肖像)

今回は、ある人(女性)の家庭環境の話から始める(以下をサイトに公開する事にA子さんの了承をいただいている。)

家族構成:父・母・長女(A子):独身・次女(B子):既婚子ども有り・長男(C雄)の5人家族。ただし、父は昨年他界。現在は、年老いた母の面倒を長女がみている。

以下、A子さんの語りである。

ひょっとしたらどこの家にもある話かもしれません。実は、母と妹(B子)の関係がよくありません。私がB子の母に対する行為に常にトゲトゲしたものを感じていて、年老いた母を庇(かば)おうとするとB子は私に反発します。

B子「お姉ちゃん子どもの頃、あの人(母親)が私達にどう接したか覚えてないの?私達姉妹には汚い服ばかり着せてたじゃない。うちにお金が無かったわけじゃないでしょ?だってあの人(母親)、自分はブランド品のハンドバックもって、服はみんなオーダーよ。おまけに、C雄にはかわいいミキハウスの服きせて。昔のアルバムみたら一目瞭然。お姉ちゃんはあんな格好させられたから中学校の時、同級生から虐められてじゃない。思い出してよ。」

A子(続き)「私も薄々感じてはいたんのですが、実際そうなんです。明らかに母の娘である私たち姉妹は邪険に扱われ、息子である弟は溺愛されていました。

なぜ母親は私達姉妹に対してそんな酷い事をしたのか?私達姉妹で考えた結果はこうです。

私達姉妹が幼かった頃、父は私達(娘)が大好きでよく遊んでくれました。父と私達姉妹の関係は良好であったのです。ところが、父と母の関係は良好であったとは言えなかったので、事ある毎に母は私達姉妹に辛く当たっていました。今から考えると私達姉妹は母から「嫉妬」されていたのです。つまり私達姉妹は母からみると親から「庇護(ひご)」する対象の子どもではなく「嫉妬」の対象です。そして、その反動で、母は弟を溺愛していました。同じ両親から生まれながら姉妹と息子の待遇の違いは明白でした。思春期を迎えた私はいつも冴えない格好をさせら周りから虐められる対象になりました。あの「いじめ体験」は今でも忘れられません。
今、妹が母に対して抱いている感情は復讐心であり、妹の復讐心の根源は私たちの幼少期の体験がもとになっています。既に結婚し子どももいるB子ですが、自分が子どもの頃十分に受けられなかった母からの愛情を自分の子どもに注ぐかのような態度がみてとれます。(編集部注:自分自身の育てなおし)。

そして私自身も表面上は母との関係は良好でありますが、時々、私自身の心の声を聞くことがあります。『あんまり我がママ言うと見捨てるよ』と母に聞こえないようにつぶやく私の声を・・・。」

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4、本当は怖いグリム童話(白雪姫)

白雪姫2、の事例をみて「これって白雪姫みたい」と思う人も多いだろう。


白雪姫と言うと、継母(女王)が美しく成長した娘(お姫様)に嫉妬して城から追い出し命までも奪おうとする話で、7人の小人や、王子様が登場する話・・と思い出す人が大半であろう。そして、その時、思い浮かぶ映像は、ずばり、ディズニーアニメの映像の筈だ。

白雪姫(ディズ二ー版)

ある城に白雪姫という姫が住んでいた。白雪姫の継母である女王は大変恐ろしい魔女であった。ある日、白雪姫の継母が、いつものように魔法の鏡に『一番美しいのは誰?』と聞くと、魔法の鏡は『世界で一番美しいのは白雪姫』と答えてしまう。そこで女王は、ある狩人に、白雪姫を殺し彼女の心臓を持ち帰るよう命令する。しかし、狩人は彼女を逃し、代わりに豚の心臓を持ち帰る。一方、白雪姫は森で迷い、一軒の小さな家を見つけると、そこは七人の小人の住む家だった。その後、継母に毒りんごを食べさせられて死んでしまうが、通りかかった王子様のキスによって生き返り幸せに暮らす。

という話だが、これはディズニー版でありグリム童話版は以下のエピソードとなる。

白雪姫(グリム童話版)

白雪姫というとても美しい王女がいた。彼女の継母(グリム童話初版本では実母)である王妃は、自分が世界で一番美しいと信じており、彼女の持つ魔法の鏡もそれに同意したため、満足な日々を送っていた。 白雪姫が7歳になったある日、王妃が魔法の鏡に「世界で一番美しい女性は?」と聞くと、白雪姫だという答えが返ってきた。王妃は怒りのあまり、猟師に白雪姫を森に連れて行き、白雪姫を殺し肝臓(※作品によっては心臓、となっている)をとってくるように命じる。白雪姫を不憫に思った猟師は彼女を殺すことができず森の中に置き去りにし、イノシシの肝臓をかわりに持ち帰った。そして王妃はその肝臓を塩茹にして食べた。 白雪姫は、森の中で7人の小人(sieben Zwerge、英訳ではドワーフ)たちと出会い暮らすようになる。しかし、王妃が魔法の鏡に「世界で一番美しいのは?」と聞いたため、白雪姫がまだ生きている事が露見。王妃は物売りに化け、小人の留守を狙って腰紐を白雪姫に売り、腰紐を締め上げ息を絶えさせる。 帰ってきた7人の小人が腰紐を切って白雪姫を助け出すと、再び魔法の鏡により生きている事が露見。 毒つきのくしを作り、白雪姫の頭にくしを突き刺して白雪姫は倒れた。しかしまた、7人の小人がくしを抜き蘇生させた。 そしてまたまた魔法の鏡により生きている事が露見。 王妃は、白雪姫を殺そうと毒リンゴを作り、リンゴ売りに化けて白雪姫に食べさせた。 白雪姫は小人たちから「家の扉は開けてはいけないよ」と言われていたため、はじめは抵抗したが、王妃が「わたしはただのリンゴ売りです。」と言ったために信じてしまい、その毒りんごを食べて息絶える。 白雪姫は帰ってきた小人たちに発見されるが、小人たちは白雪姫が倒れた原因を見つける事が出来なかった。白雪姫は死んでしまった、と悲しみに暮れた小人たちは、白雪姫をガラスの棺に入れる。そこに王子が通りかかり、白雪姫を一目見るなり、死体でもいいからと白雪姫をもらい受ける。 家来に棺を運ばせるが、家来のひとりが木につまずき、棺が揺れた拍子に白雪姫は喉に詰まっていたリンゴのかけらを吐き出し、息を吹き返す。 その結婚披露宴で、王妃は真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬまで踊らされた。

さらに以下のようなエピソードがあった。
・白雪姫を殺そうとし、又最後に焼けた靴を履かされて殺されたのは、継母では無く実の母であったとされる。
・白雪姫を助けるのは7人の人殺しだったが、二版以降は7人の小人に変わった。
・王子が死体愛好家とされている
・ガラスの棺の白雪姫を王子が城に運んでも、ずっと眠ったままで、王子は四六時中、白雪姫を見つめていた期間があり、彼女が目覚めるまで時間がかかった。
白雪姫がリンゴを吐き出した理由は、作品によっては
・家来が藪に足を取られて倒れ、その拍子に吐き出した
・王子が白雪姫を抱いているとき藪に足を取られて倒れ、その拍子に吐き出した。
・家来が白雪姫を運ぶのに疲れ、苛立って白雪姫を蹴った
というものがある。
また、継母の最期の部分が作品によっては 毒リンゴを食べさせた後に再び鏡に訊ねたところ
・白雪姫がまだ尚生きていることを知り、怒りの余り発狂し街へ飛び出しそのまま狂い死んでしまう
・白雪姫がまだ尚生きていることを知り、癇癪を起こして鏡を叩き割り、その破片が心臓に刺さる
・隣国の王子の妃が最も美しいと聞き、結婚式に見に行って死んだ筈の白雪姫と知ってショック死
・7人の小人に崖から突き落とされ殺害される
などとするものも存在する。・・・

・・・・と言う様に、原作のグリム童話の「白雪姫」はとても童話というカテゴリーに収まる内容の読み物ではなかったのである。今風に言えば商業的に成功させる為に、内容を徐々にマイルド化し、我々日本人に取って馴染み深いディズニー版の「白雪姫」はあの様な作品に仕上がったのである。

以前、出版界でも「本当は恐ろしいグリム童話 (ワニ文庫/桐生操)」が売れた時代があった。

ちなみに昨年(2012年6月15日)公開された「スノーホワイト」:白雪姫(実写版)の特報を以下に貼り付けておく(Youtube)

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5、白雪姫コンプレックス

ウキペディアで調べてみると以下の記述がある。

白雪姫コンプレックス

白雪姫コンプレックス (しらゆきひめコンプレックス)とは、子どもの時に虐待された母親が、今度は自分の娘に対して虐待をしてしまう被虐待児症候群、及びそれに連なる一連の症候のことである。 精神分析学者の佐藤紀子が命名した。母親の娘に対する憎悪を意味する概念でもあるが、混同しやすいために「白雪姫の母コンプレックス」と区別することもある。白雪姫コンプレックスは、1990年代に出現した用語であるが、白雪姫の母コンプレックスの方は、1980年代半ばでも使用が確認されている。

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6、考察

グリム童話をウキペディアで調べてみると・・・

グリム童話

『グリム童話』(グリムどうわ、独: Grimms Marchen)は、ヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟が編纂したドイツのメルヒェン集である。正式なタイトルは『子供たちと家庭の童話』(独: Kinder-und Hausmarchen)で、1812年に初版第1巻が、1815年に第2巻が刊行され、著者の生前から数度改訂されつつ版を重ねた。160以上の言語に翻訳されており、聖書に並ぶといわれるほど広く読まれ、多くの芸術家にインスピレーションを与えている。また民話収集のモデルとして、他国の民話研究にも大きな影響を与えた。

グリム童話は、1812年に初版第1巻が発刊されたとあるので、かれこれ200年の歴史がある事になる。そもそも「グリム童話」とはグリム兄弟が、ドイツに古くから伝わる民話とおとぎ話を集め再編集して童話集として出版したのがそのルーツであり、日本で言えば「桃太郎」「竹取物語」「浦島太郎」「<一寸法師」などのお伽噺集である。

たぶん、その起源がはっきりせず、人類が言語を発明し、伝え話し聞く行為の連続性の中で洗練されてきたものであろう、そして、印刷技術が世の中に広まったタイミングで、ドイツでグリム兄弟が編集、印刷、発刊。更に全世界の160以上の言語に翻訳され、聖書に並ぶといわれるほど広く読まれで受け入れられているところをみると、人間の根幹的かつ普遍的な何かが「グリム童話」にあるのだろう。

その中の一つのお話として「白雪姫」は存在するのである。現在の白雪姫は女王は継母(ままはは)と言う事になっているが、初版本では実母と言う設定であったのはよく知られている。

普通に考えて、母が子どもに読み聞かせる「物語(ストーリー)」の設定で、実母が美しく成長した我が娘に嫉妬し、城から追い出し殺害しようとするのだから、継母と設定が変更されるのは理解できるのだが、・・しかし、だとすると、ドイツの民話としての「白雪姫」はグリム童話化する以前は、実母の実娘の殺害ホラー物語だったと言うことになる。
牧歌的なイメージが漂う、ドイツの民話がルーツの「白雪姫」だが、私たちが勝手に牧歌的とイメージしているだけで、リアルな人々の生活は、現代の一夫一婦制が確立した世の中で生活している私たちからみると、腕力が強いものが非力な者を奴隷化したり、やたら魔女裁判的な弱者に対する理不尽な制度が合法化されていたりする・・・所謂、暗黒のヨーロッパ中世を生きた人達の物語なのだと思った方が理に叶っている。

今の現代社会の日本でさえ、人権という概念(考え方)が定着してのは戦後(終戦記念日:1945年(昭和20年)8月15日)で、21世紀に入ったとは言え、僅か70年しか経っていない。

しかしながら、家族、家、父、母、子ども・・と言う概念は、人が言語を持った時から連綿と続いていて、あなたも私も、遠い昔昔から続いている人の営み結果としてこの世に生まれ、成長し、今この瞬間、高度な文明の中で、パーソナルコンピューターのディスプレイの上でこの文字の並びを意味のある文字の並び・・言語として認識、理解しているのだ。

つい100年位前に「 ジークムント・フロイト」と言う精神科医が「無意識」を発見し、色々な心の病を持った人たちの治療にあたった。後に彼は「精神分析学」の創始者となる。以下の「エディプスコンプレックス」もフロイトが提示した概念である。

精神分析の世界では「父」と「息子」との無意識的葛藤を「エディプスコンプレックス」として捉えている。詳しい解説は付録頁参照。

さて、今回冒頭で「事例」として取り上げた母と娘、母と息子の関係をどのように感じますか?

普通に考えると・・・

母:娘を普通に可愛がっていればよかったですね。
A子:普通の母娘関係だったら学校で虐められる事もなかったのね。
B子:今、自分の子どもに注いでいる愛情の源泉が幼少の頃、実母から受けた虐めの裏返しでなければいいですね。
C雄:貴方が母親から受けた愛情は少し変形した愛情だったのかもしれません。

将来的に危惧される家族の危機

母:体が衰えていくなか、娘たちとの関係はどうなっていくのでしょうか?娘から見捨てられる日が来る事に怯えながら暮らしていくのでしょうか?
A子:中学校時代のイジメはトラウマ化してないでしょうか?A子さんに子どもが生まれた時に、普通に自分の子どもを可愛いと思い愛情を注げるでしょうか?実母から受けた虐め体験が世代間連鎖しないでしょうか?
B子:B子さんの場合は、実母から受けた虐めの反動形成で「自分の子どもには人並み以上の事を・・」(自分の育てなおし)と愛情を注がれている様子。これから先、その反動形成の上に成り立っている「愛情」が変質しなければよいのですが。
C雄:母と姉たちの不可思議な関係の中で育ったC雄さん。肝心の父との関係がどうだったのかわかりませんのでなんとも言えませんが、過度に注がれた「変質した愛情」だった故、今後、C雄さんがどのような配偶者を選択するか興味があるところです。

精神分析的視点でA子さん一家を眺めていると、なぜにA子さんの母親は「仲のよい父と娘の関係」を疎んじ、実の娘達に辛く当たったのか?何がA子さんの母親にそういう行為をさせてしまったのか?A子さんの母親のセラピー(精神分析)をしたくなります。多分、A子さんの母親も彼女が子どもの頃に何かしらのトラウマを抱え、それを意識下(無意識)に押し込めて育った為に、結婚し、妊娠出産後、自分が「母」となる環境や立場の変化を経て、娘達の存在がA子さんの母親の無意識(コンプレックス:複合観念体)を刺激し、娘達に対してあのような理不尽な対応をしてしまったものと思われます。

折角の幸福な家族の形を自分自身でそれも意識する事なく、無意識に歪め、壊していく。口では「子ども達の幸福を願っています」と言うものの実際の行動はなぜか正反対の事をしてしまう。

人の「業」とは恐ろしいものだとつくづく感じます。

幸福の道は、自ら自分のコンプレックスに気づき、それを書き換えていく事です。まず、あなた自身が、生きにくさを感じ、それを意識したのなら、この生き難さの根源はなんなのだろうと突き詰めて考えられる事をお勧めします。

既刊の「月刊精神分析2012年11月号 東ちづる アダルトチルドレン」の中で、東ちづるさんはこう述べられています。「偶然手にした本から、自分の生きにくさはアダルトチルドレンという名前のあるものなんだとわかって、沢山の本を読みました。結果、幼少の頃からの母娘関係の問題がある事がわかって、結局、母と娘が一緒にカウンセリングを受ける事になりました」と。

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7、おわりに

今月の月刊精神分析いかがでしたでしょうか?

今回の月刊精神分析はある家族の肖像をモチーフに、グリム童話、白雪姫、フロイト、エディプスコンプレックスにまで話を広げました。

やはり今回も結果として「母親」の存在のスポットをあてる事となりました。

精神分析とは、人の精神、心にスポットをあてた学問であり、フロイトによる無意識の発見は20世紀の三大発見の一つとされています。そういう意味においては「精神分析」はまだまが発展途上の学問なのかもしれません。

人の心の発達とはどういうものなのか?

精神分析家のみなさんんが主催されている「精神分析理論講座」で勉強されるのも一興かと思われます。

では、また来月お会いしましょう。

ご意見ご感想はlacan.fukuoka@gmail.comまでお願いします。

月刊精神分析 編集部A 

平成25年2013年02月28日

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付録:エディプスコンプレックス

エディプスコンプレックス

「お前は自分の子供に殺される。」と神からお告げを受けたテーベ国(エジプト)のライオス国王は妻イオカステの生んだ男の子を殺すように家来に命令しました。
しかし家来は、その男の子を殺さずに遠くの国に捨ててきました。
遠くの国に捨てられた男は、羊飼いに拾われその国の王様の子供として育てられました。その国の王様は、男の子にエディプスという名前をつけたいそう可愛がりました。 
   
やがて大きくなったエディプスはある日、知り合いから、捨て子であり小さいころ王様に拾われたことを知らされます。
それを聞いて驚いた彼は神様に真実を聞ききました。
すると、神様はエディプスに、お前は父を殺し母と結婚する運命にあるとお告げをします。
ショックを受けたエディプスは国を捨て放浪の旅にでました。
放浪暮らしをしている途中で、ある男を殺してしまいます。エディプスはしりませんでしたが、その男は実の父親ライオスでした。
やがて旅を続けている内に、王亡き後怪物スフィンクスに苦しめられているテバイ国の人々をエディプスがすぐれた知力により怪物スフィンクスを倒します。英雄となりテーベ国の人々に歓迎され、その国の王の未亡人イオカステと結婚しました。
知らぬ間に神様の予言どおり父親を殺し母親と結婚した事実を知ったエディプスは自分を罰し両目をつぶし再び放浪の旅に出て、やがて悲惨な死をとげました。

これはギリシア神話の中にあるエディプスの神話の内容です。みなさんも1度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
エジプトにあるスフィンクス像もこの物語にでてきます。
私たちは、このエディプスの神話のような経験を小さい子供の頃に経験してきます。この経験がすべての恋愛のパターンの基本になっているといってもいいくらいの経験です。
この経験を通してできるエディプスコンプレックスといいます。

つまり、父と息子の間は、巨人の星の「星一徹」と「星飛雄馬」の関係の様に、息子が父を超える物語が存在するのである。今、かつての人気アニメ「巨人の星」を思い返せば、スポーツ根性マンガではなく、父と息子の葛藤物語であると思うのだがいかがだろうか?

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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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