File.022 映画タイタニック(1997年)フロイトの精神分析的考察

こんにちは、精神分析家 進志崇献@福岡です。

映画「タイタニック(1997年)」をチェックしていてフロイト博士が登場する件がありました。

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Amazonプライムビデオのお陰で、見逃していた過去作が手軽にチェック出来るようになりました。隙間時間でチェックしていくのもなかなか大変ですが、今回、取り上げるのは・・。

「タイタニック(1997年)」主演はレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレット。この作品でレオナルド・ディカプリオは日本でも大人気。「レオ様」と呼称され絶大な人気を誇った。今、作品を見返すとなんとも若々しいレオ様(22歳位でしょうか?)が初々しく感じます。

浮沈船と言われたタイタニック号がその処女航海(1912年4月14日深夜)で氷山に衝突し沈没してしまうと言う実話をもとにした作品である事は皆さんご存知だと思います。

さて、フロイト博士が登場するのは、登場人物の紹介を兼ねた冒頭のシーン。

ヒロインのローズは借金まみれのブケイター家のひとり娘。父を亡くした今、残っている財産は家名のみ。母ルースは、上流階級の人間として生き残るため、娘を資産家のキャルドン・ホックリーと無理やり婚約させた。家のために結婚させられるローズにとって、タイタニックは奴隷船にしか見えなかった。

乗船後、ローズは、タイタニックの建造会社社長のイズメイ、設計者のアンドリューズ、成金のモリー、母ルース、婚約者キャルドンらと共にテーブルを囲む。

話題はタイタニックの巨大さ、豪華さについて。

自分にとって奴隷船同然のタイタニックの話題は退屈なローズがタバコを吸い始める。「私が嫌いなの知ってるでしょ?」と母にたしなめられても吸い続けるローズからタバコを取って勝手に消すキャルドン。ついでにメニューをとりにきたボーイには「二人ともラムだ。レアで」と、ローズの好みも考えずに勝手に注文。

それを目聡く見ていたモリーが「彼女のために肉も切ってあげるの?」とキャルドンに皮肉を浴びせる。

*建造会社社長のイズメイが「船のサイズやスクリューのサイズが最大である」という自慢話をすると、ローズは「*フロイト博士の論文をご存知? 男性が大きさにこだわる理由について面白い分析をなさってるの」と返し、さっさと退席してしまう。

*「フロイトの説:性的なコンプレック(ペニスが短小)が、やたらデカイもの好き指向の原因とする説」

モリーは、笑って「なかなか大胆な娘さんね」と言う。モリーは実力でのし上がった成金であるため、剛胆で自由奔放なローズをかえって好ましく見ている。その一方で、キャルドンの行き過ぎた行動をたしなめるかのような言動が見受けられる。

モリーはこの一件から、ローズが上流階級の窮屈さにうんざりしていることを悟ったようだ。つまり、彼女はローズに最初に同情し、理解した人間。ジャックよりも先にだ。なお、フロイトの件では、タイタニックを設計したアンドリューズも笑みを浮かべている。モリーと同様、アンドリューズもローズの「味方」であることが、この時点で観客のために明らかにされており、後のための伏線になっている。

モリーとアンドリューズだけではない。このシーンは、これら登場人物の特徴を観客に知らせるためのものとして機能している。まず、イズメイはフロイトの名を知らず「乗客の誰かか?」と間抜けなことを言っているうえに、ローズから揶揄されたことにすら気づいていない。当時フロイトの名はそうそう一般的ではなかったと思われ、あのテーブルにはイズメイ以外にもフロイトを知る者はいなかったろうが、ともかくもこの件はイズメイがどれだけ間抜けで鈍感かを示すエピソードである。

後に分かるように、イズメイはタイタニック沈没に関して責任ある立場の人間であるにもかかわらず、乗客と一緒にちゃっかり救命ボートに乗ってしまう「卑怯な」人物だ。また、キャルは婚約者の意向など無視して自分本位に行動する人物であることが表明されている。

以上、作品の冒頭のシーンの説明。できれば動画でチェックして頂きたい。

ここから精神分析的考察

タイタニック号の沈没事故が起こったのは1912年4月14日深夜。精神分析学の創始者ジークムント・フロイト(1856年5月6日生まれ )は55歳であった。脂が乗っている頃ですね。

もともと、フロイトは、オーストリア出身の医者でヒステリーの研究をしていた。その過程で催眠や対話療法を施したり、性的病因説と抑圧理論の提起という、精神分析の基礎理論ができあがることとなった。20世紀初頭のヨーロッパ社交界はタイタニックでも描かれた通り、男尊女卑の社会で、女性は抑圧の極により、そのストレスにより病理が身体化してしまった人が多くいたようだ。

フロイトは研究の成果として、ヒステリーの原因を性的な欲望の抑圧としたものだから、社交界からは疎まれていた。しかしながら、その論は的を得ていて治療の成果を上げている部分もあった。100年も前の事を想像するのは難しいのだが、そういう上流階級の中で、自己の欲求を抑圧されながら生活している「タイタニックのヒロインのローズ」の様な人々はフロイトの論をチェックし陰ながら支持していたのではなかろうか?

「生き延びるためのラカン 斎藤環 2006年」に目を通すと「ペニス羨望」が評判のよろしくない概念として紹介されていますが、「ファルス」や「リビドー」とか「エディプスコンプレックス」とか並べられても、ヨーロッパ社交界にはすんなり受け入れられないだろうなと素直に思います。

ちなみに、我らがジャック・ラカン(1901年4月13日生まれ)は、事故当時、11歳でまだ小学生でした。

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このブログ記事について

このページは、hirofumiが2016年9月26日 17:57に書いたブログ記事です。

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