三宅隆太スクリプトドクター タイトル画像

1、はじめに

みなさん、こんにちは、月刊 精神分析 編集部Aです。

最近めっきりテレビをみなくなりました。じっくり腰を据えて何時からなんとかと言う番組を見ようとする生活様式(ライフスタイル)がなくなりました。

そのかわり細切れの時間を利用して視聴するのが、Youtubeなどの動画共有サイトのコンテンツ。

そんな中でも私が興味を持っているのがライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(TBSラジオ、2007年4月- 第46回(2008年度)ギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティ賞を受賞)の「週間映画時評 ムービーウォッチメン」と言う映画批評のコーナー。

宇多丸さんの映画批評コーナーは大変面白い。彼の語りを聴いていると心理学や精神分析的語りが多く飛び出してくる。興味を持って彼の事を調べてみると、実父は有名な精神科医の「石川信義」との事。なるほど只者ではないなと・・彼に対する興味を新たにする。

毎週の放送内容は、Googleで動画検索してもらえば沢山動画がヒットするのでそちらで確認して欲しい。

さて、今回取り上げるのは「週間映画時評 ムービーウォッチメン」のゲストとして登場する三宅隆太さん(スクリプトドクター)の著書:スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 単行本 初版:2015年07月10日

三宅隆太(みやけ りゅうた、1972年 - )さんは日本の脚本家、映画監督、スクリプト・ドクター、心理カウンセラー。東京工芸大学映像学科在学中より若松プロダクションにて助監督としてスタートし、のちにフリーの撮影・照明スタッフとなる・・・。ウィキペディアでは彼の人となりを把握する事はできないのだが、ラジオでの語りや著書の文章を読むと懐の深さを感じる。

今月の月刊 精神分析は人生脚本(シナリオ)をテーマに語っていきます。

参考:既刊の月刊 精神分析 月刊 精神分析 人生脚本(シナリオ)2011年02月号

ご意見ご感想は
lacan.fukuoka@gmail.com
でお待ちしています。

2015年平成27年12月31日

月刊 精神分析 編集部A

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2、登場人物

宇多丸

宇多丸(うたまる)
宇多丸(うたまる、1969年5月22日 - )は、日本のラッパー。ジャパニーズヒップホップ黎明期の1990年代前半から活躍するヒップホップグループ・RHYMESTERのMC、マイクロフォンNo.1。本名、佐々木 士郎(ささき しろう)。FGメンバーでは最年長。ライター、アイドル評論家、映画評論家、クラブDJ、ラジオDJとしても活動。一番好きな映画はアポカリプト。父親は精神科医の石川信義。


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三宅隆太

三宅隆太(みやけりゅうた)
三宅隆太(みやけ りゅうた、1972年 - )は日本の脚本家、映画監督、スクリプト・ドクター、心理カウンセラー。
東京藝術大学大学院講師、東京工芸大学芸術学部講師。
日本シナリオ作家協会会員、日本推進カウンセラー協会会員。
東京工芸大学映像学科在学中より若松プロダクションにて助監督としてスタートし、のちにフリーの撮影・照明スタッフとなる。映画・テレビドラマ等の現場に多数参加。ミュージックビデオのディレクターを経由して脚本家・監督に。また、スクリプトドクター(脚本家のお医者さん)としてハリウッド作品を含む国内外の映画企画に多く参加する傍ら、東京藝術大学大学院をはじめ各種大学やシナリオ学校等で教鞭を執っている。主な作品に、『劇場霊』(2015年11月21日より全国公開)『クロユリ団地』『七つまでは神のうち』『呪怨 白い老女』など。
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」2011年8月13日の放送で大手製菓メーカーブルボンの熱烈な愛好者であることを告白した(番組企画提案の際、ブルボン特集を提案した)。

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3、Youtube動画共有サイトの資料

宇多丸が『スクリプト・ドクターというお仕事』を語る 。放送日:2009年9月19日。

宇多丸×三宅隆太「スクリプトドクターとは何か?リターンズ」 七つまでは神のうち(劇場公開日 2011年08月20日)TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフル」前回の放送から2年経過。

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4、ソニースタジオメイツ(sony studio mates)

堺市立大浜中学校ソニースタジオメイツ愛好会。

話は今から40年前に遡る。私が多感な中学校時代の話。今ではゲームメーカーになってしまったSONYがスポンサーのラジオ番組があった。私の地元:福岡ではKBC九州朝日放送で夜9時位から放送されていました。パーソナリティは松井伸一さん。BCLラジオを使ってラジオ大阪のソニースタジオメイツも雑音混じりで聴いていた(これが後のぬかるみの世界につながっていくのだが・・)。パーソナリティは鏡宏一さん。

大人になって当時の事を振り返る。当時、若者の文化はラジオとカセットテープとレコード、映画で、ビデオデッキが発売される前は、ラジオカセットレコーダー(ラジカセ)が最強の生活潤いアイテムであった。テレビはやっと白黒からカラー化が一段落した頃で、一家に一台家族の団欒お座敷(リビング)に鎮座ましましている存在だった。

日本の総花主義の電機メーカーはこぞって若者向けに自社ブランドのラジカセを市場に投入していた。シャープの一発選曲ラジカセや、東芝アクタスパラボラ、松下のスナッピー、ナショナルMAC、日立パディスコ、そして、ソニーのスタジオシリーズ。

ソニーはアフレコ機能がついたラジカセや、ワイヤレスマイクがついたり、多機能なハートを次々に投入していた。

そんなラジカセの機能をつかって3分位のラジオドラマを聴取者から送ってもらって、放送してしまうと言う番組をソニーが全国で展開していた。当然、ソニーにしてみれば自社製品のラジカセやカセットテープの販促番組なのだが、当時、中学生位の年齢の子ども達が自主制作した作品が民放で放送されるのだから、自分の作品を送った子ども達にしてみればワクワクものの番組であった。

当時は、高額の郵送料をかけて送った作品がボツになるのはかなりの精神的な痛手でもあった。^^

当時、ソニー少年であった私にとっては、大阪の心斎橋にソニータワー(竣工:1972年‐1976年-2006年解体)が出来たのも大きな出来事であった。

全国展開していあたソニースタジオメイツの仕掛け人(プロデューサー)はどの様な方だったのか?興味のあるところ。

当時、中学生であった僕の悩みは面白いラジオドラマ(脚本)を書ける人が周りにいなかった事。中学生の分際でシナリオライター不在を嘆いたいたのだ。映画監督でもあるまいし。^^。ラジオドラマで筒井康隆さんの「だばだば杉」を聴いたのを今でも覚えている。筒井康隆さんのショートショート集「笑うな」を購入したのも中学生の頃。今から思えば、起承転結の物語の構造は知っていても、自分自身が親から渡された人生脚本(人生シナリオ)の扱いに苦慮していて、他人を楽しませる物語の創造に至らなかったのだなと納得してしまう。

このソニースタジオメイツと言う番組は、ソニーのラジカセがステレオ化するに当たり、(ソニーステレオジルバップ1977年)終焉を迎えるのでした。

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5、Amazonのユーザーレビュー

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 単行本 初版:2015年07月10日」のAmazonのユーザーレビューに興味深い一文が投稿されていた。<そんなに売れていない漫画家>

Amazonのユーザーレビュー

5つ星のうち5.0三宅さんの映画に対する評とこの本に対する評は分けるべきです 投稿者amnt2015年7月5日 Amazonで購入 私はそんなに売れていない漫画家です。 ラジオが好きでラジオで三宅さんのことを知りこの本を買いました。 映画はあまり見ません。三宅さんの作品も見たことがありません。 なので、この本に対する評価を純粋にできると思ってます。

話を作る仕事に携わっているなら読んだ方が絶対に役に立つ。というより心が支えられます。

私は話の構成を考えるのは好きですが、その中に詰める感情を表現するのが下手なことを悩んでました。
担当編集に相談しようにも、たくさん抱えている作家のウチの一人。
相談できないでいました。
何故自分は感情が上手く描けないのだろう
何故自分は...何故自分は...と、この本で言うところの「自己凝視」に陥っていました。

そもそも自分自身の感情はどうなっているんだろう?
今まで頭で考えるばかりで感情を顧みることがありませんでした。

この本の第2章「性格の仕組みとクライマックスの関係」が語られていました。
どのようにして「自分の殻」が作られてしまうのか。
それを自分に当てはめて行くと、自分がいかに自分を抑圧していたのかが自覚できました。

この章には三宅さんが映画学校の生徒と接した際、自分の殻に気づかないでいた生徒が自分の殻を破るに至る出来事が書かれています。
その瞬間は読んでいても本当に胸が熱くなりました。

そして自分に当てはめて考えているうちに、その生徒同様に自分にも急に本当の自分に気がついてしまう瞬間が訪れました。
今まで自分が自分だと思っていたものがガラガラと崩れてきてしまい、「何だこの本、怖い...」と思って一旦閉じました。
しかし、一度本当の自分が理解できると徒に自分のことを気にせずに済むようになりました。
自分に対する客観性が生まれるのです。

ラジオで三宅さんの話を聞いていたので、多少内面についてのことが書かれているとは思っていましたが「内面の部分多すぎない?」と、目次を見た時には正直思っていました。
でもこの「客観性」を持つことこそが大事なのだと三宅さんは言いたいのだとこの本を読んで理解できました。

そしてこのレビューのタイトルでも書きましたが三宅さんの映画に対 する評とこの本に対する評は分けるべきです。
ご自身でもP271「リライターとして再参加する際の注意点」において書かれてますが外部の人間が冷静に分析できるのは当たり前で、書いてる本人が自分の脚本を冷静に分析できないのは当然であると。
そこを同一に考えてしまっている人はそもそもスクリプトドクターの仕事を理解していないように思います。
「自分に響かない映画を作る奴の本もきっと自分に響かない」という前提にとらわれてしまっているのではないでしょうか?

第6章の最後の「カウンセリングの必要性」の項を読んで何故、三宅さんがここまで話を作る人に寄り添えるのかが垣間見えました。

私はこの本を読んで、早く次の話が描きたいという欲求がものすごく湧いてきました。自分に固執することなく話を作っていけるようにもっと担当編集と話をしようと思います。
本当にありがとうございました。

文中の「客観性」と「人に寄り添う」は、実にカウンセラーや精神分析家に求められるそのものなのです。私は、このレビューに大いに関心を持ちました。この本には、単なる「スクリプト指南本」ではないかと思い購入する事にしました。

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6、スクリプトドクターの脚本教室・初級篇

この本は、単なるシナリオ書き方指南本ではない。

実はこの本は三宅隆太さんによる、クライアント(脚本家)のカウンセラー本である。

-目次-
第1章 あなたの世界観をさぐる
第2章 性格の仕組みとクライマックスの関係性
第3章 中心軌道を抜き出し、葛藤を簡略化する
第4章 逆バコ起こしで構成力を身につける
第5章 スクリプトドクターの仕事術 前半
第6章 スクリプトドクターの仕事術 後半

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 P.60

不要になった「世界観」を捨てる。 そんな自分を変えたい、とC君が強く望んだので、ぼくはこれまでとは少し違うトレーニングを施してみました。カウンセリングの「認知行動療法」を導入したのです。

脚本の指南本に「認知行動療法」が出てくるとは思わなかった。でしょ?

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 P.72

「殻」を作るのは「未精算の過去」

殻:コンプレックス(複合観念体)
未精算の過去:意識に留めておくには辛すぎて、意識下に沈めた複雑な思い(無意識)

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 P.74

社会的な仮面と「未精算の過去」

社会的な仮面:ペルソナ

スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 P.75

「殻」を破れるのは自分自身

「ひとは自分の意思で人生を変えることができる」
→無意識の意識化(対話療法による言語化)

読み続けていると、この本は心理学を基礎にしたクライエントに対してのカウンセリングストーリー展開していると理解した。

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7、三宅隆太さんの事

ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(TBSラジオ)にゲスト出演する三宅隆太さんの語りは、いつも他人に対する強い思いやりを感じる。

この人のバックボーンには一体何があるのだろう?常にそういう興味関心を持ちながら音源をチェックしていた。

彼の場合、映像現場に身を置きながら、多くの人と協力しながら仕事を進める中で、対人関係になやみ、その解決手段に心理学的を学び、スクリプトドクター活動に置いても、あたかもカウンセラーがクライエントの悩みを解決する手段として認知行動療法を用いる様に進化したのではないか?と推測した。

ネット上では三宅さんの詳しい養育史を知る事はできないが、興味のあるところである。

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8、心理学の可能性

今回はたまたま、スクリプトドクターと言う特殊な仕事に興味をもった事から、三宅隆太さんの視点から心理学・精神分析的視点を持つ事となった。

シナリオ作成という自由な表現活動の場においての心理学的アプローチの有用性を教えてもらった格好だが、シナリオライターや脚本家の「殻を破る」=「コンプレックス」の解消がよい脚本の作成になるという症例を教えてもらった。

こういう手法は、ありとあらゆる場面に応用可能なのではないだろうか?

身近な例で言えば、交通事故を巻き起こすドライバーの心理的対応法とか・・・

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9、人生シナリオ

三宅さんは、スクリプトドクターとして、脚本家やシナリオライターに対して、心理学的手法でアプローチされているのだが、人の生き様そのものに対して、心理学的手法でアプローチする方法が精神分析やセラピーである。

Googleで「人生シナリオ」を検索すると膨大な量の文献がヒットする。

ネットからの引用

交流分析の中に、人生脚本という専門用語があります。 これは、「 その人が親から獲得したり自分で感じて決めたりして作り上げた、その人だけの生き方のルールは、一生を左右するシナリオ(脚本)として描かれている 」という事を意味しています。 人の心は、まったくその人だけの世界で、どのようなルールが隠されているのか詳しく分析するまで誰にもわかりません。この人生脚本は、その持ち主である本人にも意識できない深い無意識に書き込まれたものです。 良く知られた例では、マリリンモンローの人生脚本があります。 彼女は、映画界では20世紀を代表する女優と謳われた成功者である一面を持ちながら、実生活では「 幸せになれず、健康であれず、孤独で、成功しない 」という人生脚本通りに、人生に幕を引きました。本人は、死に物狂いで幸せになろうとしたにも関らず、人生脚本には強力な支配力があって、その人の人生を決定する、という実例です。 また、仮に分析された脚本にいかなる非効果的な内容があったとしても、カウンセリングを受けることにより、自動的に効果的なものに書き換えられていくといわれています。交流分析では、カウンセリングの存在意義のひとつは、人生脚本をより良いものにすることであるとされています。 心理分析は宗教ではありませんので、どうする事がより良い人生なのかを示唆する事は出来ません。ご自分で、「 無意識までも明らかになった自分 」を知った上で、それをどう変えてより良くするのかを検討する為のものです。

人は知らず知らずのうちに親から渡された「人生シナリオ」を一生懸命演じていると言う。親から渡された人生シナリオを変更し、自分らしく生きる事も可能なのである。

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10、おわりに

今月の月刊 精神分析は「スクリプトドクター」と言う職業に興味を持った私が、三宅隆太さんの著書「スクリプトドクターの脚本教室・初級篇 」を読んだ感想を述べ、心理学や精神分析について考察しました。今後も広い視野を持って、心理学や精神分析に関わって行こうと思います。

2015年12月31日

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平成27年06月30日

月刊 精神分析 編集部A

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11、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク



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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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