月刊 精神分析

1、はじめに

月刊 精神分析 読者のみなさん、こんにちは。編集部Aです。日が暮れると肌寒く感じる季節になりました。

さて、今回のテーマは「ツレがうつになりまして。」です。

以下、wikipediaより
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 ツレがうつになりまして。とは、
 細川貂々が2006年3月に幻冬舎より出版したコミックエッセー。
 略称は「ツレうつ」。
 2009年5月にテレビドラマ化され、2011年10月には映画化される。
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以下、ある本の紹介サイトから
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うつ病を患った夫との生活を描き、25万部を超えるベストセラーになったコミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』。かわいくて親しみやすい絵、共感できる内容が、実際に患者になった人からも、そうではない人からも支持されている。うつ病との付き合い方が参考になるのはもちろん、家族関係を考える本としてもオススメだ。

『ツレがうつになりまして。』夫がある日「死にたい」と言い出して......。

「ストレスがない」という働く大人は、ほとんどいないと思う。残業をまったくしないという会社員も少ないだろう。過重労働大国ニッポンで生きる人が本書の冒頭を読めば、他人事とは思えないはずだ。

漫画家・細川貂々さんのツレ(夫)は、ハードウェアメーカーのサポート係。会社が大規模なリストラを行なった頃から、ツレの状態がおかしくなった。人数は減っても仕事は減らないので、ひとり当たりの仕事量が激増。疲れすぎて失敗ばかりするようになり、夜も眠れないようになってしまったのだ。ある朝、ツレは真顔でつぶやく。

死にたい......

うつ病だった。貂々さんはそのとき初めて、うつ病は誰でもなる可能性がある病気だと知る。

それまではどちらかというと、貂々さんがネガティブ思考で、前向きで明るいツレに励まされていたという。ところが立場が逆転した。うつは「ガンバレといってはいけない」といわれる病気。どう接したらいいのか。

本書の場合、失敗例も成功例も紹介されているのでリアリティが感じられる。また、随所にユーモアをまじえ、シリアスな出来事も読者の負担になりすぎないように配慮をもって描かれている。貂々さんの対応を見て、とにかく相手のつらい気持ちを受け入れ、かといって自分も我慢しすぎないことが大事だと感じた。
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以上 引用終わり

この映画の鑑賞中、私は人目も憚らず何度も大笑いしてしまいました。・・・と言うのは、私は過去、バブル経済下のコンピューターメーカーのSE(システムニンジニア)を経験しており、ツレの大変さが身に染みており、思わずあの頃の自分が蘇って、一気に感情移入してしまいました。

映画の評価としては「ある夫婦の物語」であり、特撮でもなく、派手なアクションもなく、チープな映画なのだが、そこは、ツレ(夫)役の堺雅人氏(はまり役)と妻(ハルさん)役の宮崎あおいさんが夫婦役を好演されており、十分楽しめる映画になっていると思います。

今回は、サラリーマン時代、自律神経失調症と診断された私が精神分析的視点で「ツレがうつになりまして。」を分析します。

平成23年10月31日 月刊 精神分析 編集部A

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2、登場人物プロフィール


ツレ

夫:ツレ(堺雅人)
性格分析:几帳面な性格。劇中では、クレーマーの様なお客様にも、自分の名前は「はしご髙の髙崎です」と説明している。どうでもいいと思うのだが、人の名前だからどうでもいいと言う事にはできないらしい。責任感が強く大変几帳面な性格である。うつ病にかかりやすい典型的性格の人。




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ハルさん

妻:ハルさん(宮崎あおい)
性格分析:お昼寝ができる、大らかな性格である。ツレの稼ぎで生活できているので、漫画は趣味みたいなもの・・とおっしゃる。私からみるとリスクなく好きな事ができるのは羨ましい。しかし、ツレがうつ病を発症し大変な事に・・・



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惟能創理(いのうそうり)
日本初のインテグレーター(精神分析家)
編集部Aのスーパーバイザー 。

1951(S.26)年 埼玉県熊谷市に生まれる
1992(H.04)年 大沢精神科学研究所設立
1992(H.04)年 道越羅漢(みちおらかん)となのる
2008(H.20)年 LAKAN精神科学研究所に名称を改める
2008(H.20)年 惟能創理(いのうそうり)に改名する
著書紹介:
月刊精神分析 2009年01月号 運命は名前で決まる
月刊精神分析 2010年01月号 心的遺伝子論 産み分け法

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迎意愛近影

迎意愛(むかいあい)
精神分析家。シニフィアン研究所(埼玉県上尾市)主宰。1954年和歌山県生まれ
連絡先:signifiant1@gmail.com




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安情共恵近影

安情共恵(あんじょうともえ)
精神分析家。ラカン精神科学研究所(滋賀県大津市)主宰。1958(S.33)年4月22日生まれ。
出身:滋賀県大津市。二女の母。
神戸親和女子大学児童教育学科(兵庫県神戸市)卒業。
会社勤務の後、結婚し専業主婦になる。
二女の子育てに悩み惟能創理先生の精神分析治療を受ける。
インテグレーター(精神分析家)養成講座を受講の後、独立開業。
現在、新進気鋭の分析家として、引きこもり不登校の子供を持つ母親を全力で支援している。
同研究所は「京都府ひきこもり支援情報ポータルサイト」の支援団体として登録。
メルマガ発行:子育てメールマガジン 育児法 引きこもり 家庭内暴力 非行 不登校
連絡先:lacan.msl@gmail.com
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編集部A(へんしゅうぶえー)
月刊精神分析(げっかんせいしんぶんせき)編集部員。
ラカン精神科学研究所福岡支所
1963(S.38)年3月12日生まれ
出身:福岡県福岡市。
コンピューター会社のシステムエンジニア。食品工場の生産管理業務に従事。
飲食店の経営、飲食店の営業職、旅客運送乗務員を経た後、月刊精神分析編集部。
宗教色の強い家庭に生まれ育つ。
二十代の頃、原因不明の疾病に苦しむが転地療法にて完治した経験から、心の作用に興味を持つ。
ひょんな切っ掛けから「精神分析」の世界を知り、約三年半色々な書籍を読み漁る。

現在「月刊精神分析」の編集に関わりながら、惟能創理先生のセラピーとインテグレーター養成講座を受けている。

性格分析:自己分析、コンピューターのSE(システムエンジニア)をしてきただけあって、緻密な作業ができるA型(血液型)人間である。自分の部屋はちらかっていても許されるのだが、漫画本の1巻から・・はきちんと順番通り並んでいないと気が済まない。物事は手順を考えて、1から順番に進めていく。よって「適当にやってみて駄目でした」という事は出来ない人で、やるからには成果が出ないとかっこ悪いと感じ、失敗を恐れるタイプである。
連絡先:lacan.fukuoka@gmail.com

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3、うつ病発症(時代背景)

冒頭から「元気がないツレ」が登場します。どうやら、一戸建ての木造に二人住まいのよう。ペットはイグアナの髙崎イグ。後に、ミドリガメの「ちび」さんも加わる。

ご主人はツレ。外資系の企業でハードウェアのサポートのお仕事をされている。奥様はハルさん。売れない漫画家らしい。お住まいは、出版社に漫画を持ち込めるのだから大都市の周辺の都市で、電車で都会のオフィスに通えるところらしい。関東なら、埼玉、千葉、神奈川といったところだろうか?

うつ病に罹ったツレの症状は、背中が痛い、味覚の減退、元気がない、何もできない、何事も面倒、倦怠感。電車に乗れない(会社に行けない)、食欲不振。吐き気がする(嘔吐)。屋上から飛び降りたくなる。死にたい。眠れない、不眠。ついにはハルさんに「僕ここにいていいの?」と言い出す。更に時間が経過すると・・・食べる時以外は朝も昼も夜もずっと寝ている。過眠。・・・

精神科・心療内科に行くと医師の診断は・・

「典型的なうつ病ですね。」

リストラが進む外資系の会社で、お客様サポート係であるツレの仕事量が増え、うつ病に羅患したらしい。

バブル時代華やかな時代を経験した世代は、同時に、バブル崩壊後に吹き荒れたリストラの嵐も経験しているのだ。設定では、リストラされた退職者の送別会が続く職場に勤務となっていた。

ツレに共感してしまった私(編集部A)の場合はどうだったのだろうか?

(私の場合:日本の時代背景)

私の場合、時代の先端を走るIT業界のメーカー系の会社で、ソフトウェアの開発に従事しておりました。清潔感溢れるコクヨのブルーのパーティションで区切られたオフィスで、机上のパソコンの前に座り、仕様書を広げ、キーボードを打ちながら、毎月80時間とか平気で残業していました。仕事の納期前は休日出勤も当たり前。むしろ、従業員もそういった働き方を誇らしく思っていた様な雰囲気すらありました。業務内容によっては、お客様が通常業務をしている間はできない作業もあったりして、現場での深夜勤務もありましたね。当時は景気もよかったので残業代や交通費、出張手当も青天井(無制限)で支給されていました。どうかすると基本給より残業代の方が多かった月もある位。職がない現代日本の雇用状況からすると遥か昔の事のようですが、つい25年前位、日本はそういう社会状況だったのです。

空調の効いたコンピュータールームに鎮座ましました汎用コンピューターから、Windows95の登場により、猛烈な勢いで普及するパーソナルコンピューターへの時代の過渡期でもありました。IBMからマイクロソフトへの覇権の移行時期でしたね。今から思えば・・・(システムのダウンサイジング化)。

あの頃、誰一人として「バブル経済崩壊」を予見する者はなく。高騰する地価(それに連動した家賃の高騰)と株価、学生の青田買い(大学三年の春には就職先が内定している様な異常な状況)が問題となっていました。日本にはバブル経済破綻前には土地神話と言う言葉があり、長い目でみれば土地は永遠に値上がりすると言われていました。

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経済指標の一つである日経平均株価は1989年の大納会(12月29日)以降下がりはじめ、地価も暴落。急速に世の中の景気は悪くなり、企業における大リストラの発生、若者の就職難が今に至る「失われた20年」になるわけです。金融機関への公的資金の投入や、外資系企業による日本の会社の買収など事業環境も大きく様変わりしました。

上記のグラフをみると、私が大卒で就職した1985年の株価は約10000円、現在の株価は8665円ですから、現在の日本経済は四半世紀25年前以下の水準と言うのが現実です。

以下引用
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11月2日(水)11時8分配信

東京株、午前終値は170円安の8665円 一時193円安から戻す

ギリシャの財政危機への懸念が高まったことから、2日午前の東京株式市場は、ほぼ全面安の展開となった。下げ幅は一時、前日終値比193円75銭まで拡大。取引時間中としては、10月26日以来、1週間ぶりに8700円を割った。前日の欧米株も大きく下落し、世界同時株安が再燃する恐れもある。

 午前の東京市場では、東証1部上場銘柄の9割近くが下落。金融、保険のほか、ソニーやマツダ、富士フイルムホールディングスなどの売り注文が目立った。午前の日経平均株価は前日終値比170円32銭安の8665円20銭だった。出来高は概算で8億300万株。

 輸出メーカーを苦しめている円相場は78円台前半で落ち着いている。政府・日銀による大規模な円売り介入で、円高が一服したところに、再び欧州不安が陰を落とした形だ。

 東証株価指数(TOPIX)の午前終値は14.36ポイント安の740.14.
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以上引用

生活保護者数グラフ右が生活保護受給者数の推移。下が生活保護世帯数の推移です。都市部では核家族どころか、一人暮らしの人が激増し、統計グラフの単位を世帯数でカウントするのも、少し無理があるのかな?と思います。が、参考の為に両方を掲載します。
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生活保護受給者数は、ここ数年増え続け、1951年に逆戻り(200万人)した様な増え方です。ちなみに1951年は「サンフランシスコ講和条約、安保条約調印 」の年で、日本社会がやっと戦後の後始末に区切りをつけた年でした。下の生活保護受給世帯の方に目をやると、1985年から1995年の10年はバブル景気で生活保護世帯が減っているのにもかかわらず、バブル崩壊以降、まるでリバウンドしたかの様に増え続け、1996年のリーマン・ショック以降は更に跳ね上がっています。こうしてみると、世の中の経済状況は悪くなる一方の様な気がします。日本社会は「バブル経済」の反動で更なる窮地に追い込まれているのです。

(まとめ)

株価をみても、生活保護者(世帯)数をみても、世の中で経済活動をしている人に過度な負担がきているのは容易に想像できます。平成時代を生きている私達は、昭和時代とは異なった価値観やライフスタイルを持たないと、昭和の延長線上を生きる事はかなりつらいです。うつ病の発生は、現実の自分と、無理に理想に合わせよう・・合わせねばならない自分とのギャップが大きすぎる故に発生している「心の風邪」なのではないでしょうか?雨が降れば誰だって傘をさします。今は昭和とは違う時代なのです。心に傘をさしましょう。

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(私の症状)

リベド血管炎そんな中、私自身も「時代」に翻弄されてしまいます。もともと、実家で生活する上での宗教的な呪縛の中で「こうあらねばならない」「絶対正しい宗教」といった生活規範を全うしようとするのですが、会社の仕事はシビアになっていくのに、家庭生活はうまくいかない、人生のかっこたる目標ももてない(私にとって宗教は生きるための指針ではなく、こうあらねばならないと言う呪縛であった)、精神的病により、ストレスで両下肢にアレルギー性血管炎を発症しており、健康面でむしろ先行きに不安を感じていた。ただでさえ、経済的にも平成元(1989)年に購入したマンションの支払いは重くのしかかっていたのに、バブル崩壊で景気は急に冷え込み、今までふんだんに支払われていた残業代さえ払われない状況になってきました。
尋常性乾癬
こうなってくると、すべてが悪くなってきます。

まず不眠。寝不足からいつも頭が重い。ずーっと、スッキリしない。緊張からくる頻尿、多汗。下痢。フケ症(後年、心的ストレスにより皮膚が異常な速さで代謝する尋常性乾癬と言う病気だとわかる)。体重の減少。更に仕事で本来の能力が発揮できなくなる、なお体調が悪くなる・・総てが悪循環。

私の場合、ストレスの表れ方が、発病によって自分で自分を攻撃すると言う・・惟能創理先生曰く、「退却神経症」と言われる症状の現れ方をします。そして、刻一刻と以前の私のライフスタイルの破綻の時は近づいてきていました。

以下「退却神経症」についての引用
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退却神経症とは

退却神経症の典型な症例と治療

・苦労の経験に乏しい
・高い生活水準や体面は保ちたいという願望やプライドが強い
・あたりが柔かく、そつがなく、自分を押し出しすぎて嫌味を与えるようなことはしない
・身についた高い教養水準に固執
・いったい入院すると比較的短期間によくなり、模範患者になる
・復職の時期が問題になってくると、再び1日中横になったままの状態に逆もどりしたり、出勤拒否的になる(例えば会社へ挨拶に行くのを1日伸ばしにのばしたり、会社の玄関にどうしても入る事ができず、近くの喫茶店に上司を呼び出したりといったことがおこる)
・基本的には(内因性)うつ病だが、性格、環境、時代の影響などのために病像が修飾されたもの
・純粋の退却神経症と比べると、良くなったり悪くなったりの波があり、抗うつ剤が一時的に効くことがある
・不眠や日内変動がある

治療について

・カウンセリングを受ける事・・・治療にあたっては、うつ病との違いに留意し、抗うつ薬の長期投薬で改善が見られない場合などは、心理療法(カウンセリング)も取り入れ、生き方や考え方などの変化を促すなどを試みる
・自分の「無関心」と闘うこと・・・社会的存在であること、他人との関わりを意識すること
・睡眠リズムの乱れに注意すること・・・特に朝の気分をバロメーターにする
・頑張りすぎないこと・・・調子の良い時に頑張りすぎて疲労がたまり、睡眠リズムを乱して退却してしまうきっかけになることもある
・物事を楽しむ力を大切にすること
・几帳面はほどほどにすること
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以上引用

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4、通院

ツレは精神科・心療内科に行きます。医師からは「典型的なうつ病です」と診断され、通院、投薬、休養を勧められます。が、責任感が強く几帳面な性格のツレは「休めないよ、休んだら他の人に迷惑がかかる」と取り合いません。

(私の場合)

私は、不眠の症状が続き、頻尿、多汗、下痢などの症状が続いた為、仕事に身が入らなくなり、仕方なく会社の先輩に心療内科がある病院を紹介していただきました。症状を医師に話すと「自律神経失調症」と診断され、即入院となました。一週間くらいベッドの上でゆっくりしていました。夜は睡眠薬をもらい眠れたのですが、深夜に看護師の方が見回りにきた物音で目が覚めてしまい、テレビドラマで悪夢に魘(うな)される主人公がベッドから飛び起きるシーンを身をもって体験しました。なにしろ、入院したからと言って、自分を取り巻いている諸問題が解決するわけではないのですが、白いベッドの上で白い壁に囲まれた生活は、まず、睡眠をとって冷静な判断力を取り戻すのに有益でした。多分、緊急避難的な意味合いが強かったのだと思います。結局、いままで無理に無理を重ねて取り繕って継続させていた会社員生活が一時的にでさえ途切れる事になり、私は、自分自身と今一度冷静に向かい合う事になったのでした。

以下、wikipediaより抜粋
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自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう、英称:dysautonomia)とは、交感神経と副交感神経の2つから成り立つ自律神経のバランスが崩れた場合に起こる症状の総称のことである。

この病気は実際にはうつ病やパニック障害、過敏性腸症候群や身体表現性障害などが原疾患として認められる場合が多く、原疾患が特定できない場合でもストレスが要因になっている可能性が高いため、適応障害と診断されることもある。症状:めまい、冷や汗が出る、体の一部が震える、緊張するようなところではないのに脈が速くなる、血圧が激しく上下する、立ち眩みする、耳鳴りがする、吐き気、頭痛、微熱、過呼吸、生理不順といった身体症状から、人間不信、情緒不安定、不安感やイライラ、抑うつ気分など精神的な症状が現れることも多い。自律神経失調症には様々な症状があり、どの症状がどれだけ強いのか弱いのかは患者それぞれである。そのため患者によっては、その他の症状はあまり強く現れないにもかかわらず、ある特定の症状のみが強く表れる場合もあり、症状は実に多岐に亘る。
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以上抜粋

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5、周りの反応と対応

うつ病の治療には、患者の周りの人々の理解が必須なのですが・・。ツレの周囲の人々の反応はどうだったのでしょうか?そして、私の場合は・・。

妻(ハルさん):劇中で妻のハルさんは、ツレに対して会社を辞めるように説得します。案の定、ツレは固辞します。そこでハルさんは「辞めないなら離婚する」と・・・ハルさんが離婚を迫ったことで、ツレは仕方なく退職するのでした。経済的な事情が異なりますので、世の総ての奥様がうつに罹った旦那を退職させるなんて事はできないでしょうが・・ハルさんは「ツレが羅患したのは会社と仕事のせいだ」とツレに退職をせまったのでした。経済的な事は二の次にまず、ツレを病気から守ろうとしたのだと理解できます。

会社の上司:ツレがうつ病に罹った事を報告すると「君、うつ病にかかっている暇はないんだぞ」とツレの状況を、まったく理解しようとしません。もちろん会社の上役は部下を会社の為に働かせてナンボですから、こういう対応になるのでしょうが・・。

ツレの実兄:自宅療養中の実弟(ツレ)に「頑張れ!」を連呼して、余計にツレを追い詰めます。ハルさんはそう言う行為を「心に土足で踏み込む行為」と表現します。うつ病患者に「頑張りましょう」は禁句だといいます。そして、ハルさんは「がんばらないぞ」宣言をします(笑)。

(私の場合)

会社の上司:今でも冷たい対応を覚えています。当時の上司曰く「わけのわからない病気になって。よしんば、君がもし会社に復帰しても、私のもとでは働かせないから、そのつもりで」・・とおっしゃいました。まぁ私に大した実績があるわけでもなく、世の中は不況に突入し、会社を取り巻く事業環境も怪しくなってきているところでしたので、丁度よい人減らしの口実に使われたのかもしれませんね。結局、私は自宅療養の後、大卒で勤務した会社を退職する事を決意します。

担当医師:退院後、通院していた病院の医師は、自律神経失調症の諸症状が治まってきたところで「今までうまく行かなかった事を今度は仕事で取り返しましょう」とアドバイスされました。この頃、私の中では「今までの自分の価値観や生き方」を否定して「何かしら新しい生き方を持たないといけないといけない」と言う気持ちが強くなっていました。何もかもうまくいかなくなった現状を全否定して、新しい生活を知らない土地でスタートさせる事を選択しました。これは、今風に言うと「人生リセット」「自分探しの旅」にあたるものだと思います。

当時の私の妻:私が入院した時には、当時の妻との関係は既に破綻状態でした。ですから、既に私たちには夫婦力は皆無で、むしろ当時の私は「自律神経失調症」に罹った事を契機に正式離婚を決意したのでした。いまから考えれば離婚ももっと早くしておくべきだったと後悔しているのですが、そこは世間体を重んじる日本人。なかなか簡単に離婚はできないのですよ。

そして、私はその後、離婚、転職、引越し・・すべてを一気に行いました。

その他

ネット上での「ツレがうつになりまして。」の感想を述べているタレントがいました。「仲が良い夫婦が羨ましい」「夫婦愛に感動した」などなど、ツレとハルさんの関係を羨ましく感じると言った内容でした。周りから祝福されて結婚して夫婦達もいまや離婚率・・3カップルに1カップルが離婚と言う現実を目の当たりにすると、希薄な夫婦関係が浮き彫りにされます。仮面夫婦、セックスレスなど、いまや夫婦関係もその「絆力」が試される時がきているのかもしれません。昨今、東日本大震災以降、求婚率が高まったそうですが、真の夫婦関係とはどういうものなのでしょうか?今、改めて問われています。

参考:ネットよりニュースの抜粋
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医師の「頑張れ」は違法=症状悪化と賠償命令―大阪

時事通信 10月25日(火)19時29分配信

自律神経失調症だった男性が、不用意な発言で症状が悪化し復職が遅れたとして、大阪府内の内科医に530万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁の寺元義人裁判官は25日、「『頑張れ』などの発言は違法」として、60万円の支払いを命じた。

寺元裁判官は、内科医が「病気やない、甘えなんや」「薬を飲まずに頑張れ」などと力を込めて言ったことについて、「安易な激励や、自助努力を促すような言動で病状が悪化する危険性を避ける注意義務に違反した」と述べ、発言と病状悪化との因果関係を認めた。
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以上抜粋

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6、自宅療養生活とその後

劇中でハルさん(妻)はツレ(夫)にこう言います。「がんばらないでいいからね」。夫の失業給付金もツレが失業中に無尽蔵に支給されるものではありません。預金の残高は少なくなる一方。そこでハルさんは出版社に「ツレがうつになりまして。仕事を下さい!」と直談判するわけです。たくましい奥様ですね。何とか食べていければいいと言うスタンスで、結婚生活は続きます。

劇中でツレがハルさんに「今日から薬は飲まなくていいんだって!」とルンルン気分で病院から帰宅して報告しています。うつ病の薬としては「セロトニン」が有名ですね。うつ病発症のメカニズム(原因)として現代人のライフスタイルによるセロトニン不足が指摘されています。投薬面での科学的な解釈ですので、資料を別記しておきます。・・が、現代人が総てうつ病を発生するわけではないし、セロトニンを服用しても一週間でうつ病が完治するわけではないし、月刊精神分析編集部としては、セロトニンは心の風邪薬の様なもので、特効薬ではありません。うつ病の抜本的治療は、うつ病に罹ってしまう患者の心の構造に着目するべきだと思います。

翌日、またまたわけもなくうつ状態に陥ったツレはこう言います。本当につらそうで・・「こんな事なら良くならなければよかった」と。特に、うつ病は状態が良くなる悪くなるを繰り返すので、ダイエットのリバウンドの様に、気分が躁鬱(そううつ)化してしまうのが危ないとの事。良くなってから悪くなる状態での心的負担は相当つらいようで、この時の「頑張って」は禁句という事でした。何故なら「頑張って」→「もう頑張れません」→「死への欲動」と自殺を誘発する恐れがある為。

ハルさんは、2006年3月に本作品を出版した後、続編として『その後のツレがうつになりまして。』を2007年11月25日に、完結編として『7年目のツレがうつになりまして。』を2011年9月07日に発表したそうで、ツレと「うつ病」との関わりは数年続いたようです。

(私の場合)

正確には私は「自律神経失調症」で「うつ病」に罹ったわけではないので、自宅療養の期間は数ヶ月でした。自分リセットを決意してから、新天地で精力的に仕事に打ち込みました。以前の多趣味だった私とは別人の様に仕事・仕事・仕事・・今まで上手く行かなかった生活を立て直すのに必死でした。周りに家族もいない、宗教に凝り固まった家族も親戚もいない、生まれて初めて自分の考えだけで、当時流行っていた「自己責任」でガンガン頑張りました。結果、4年間でマンションの35年ローンも完済し、あれほど自分を苦しめてきたアレルギー性血管炎も再発せず、人生のリセットに成功した気分を味わいました。実家の宗教的呪縛を解き、経済的呪縛も解き、一番大切な健康も取り戻しました。よって私の場合、転職、離婚、引越しは大正解でした。

誰に言われたわけでもなく「あぁこのままでは俺の人生が台無しになる!もう一度一から出直そう」と決断し行動した結果がこれです。

そうそう、離婚後は自己評価が低くなってしまいました。これでは「自分は甲斐性なし」と思われてしまう。離婚によって自己評価が下がったままだと悔しいので、マンションのローン返済は「意地」で頑張ったのだと思います。

離婚後、奮起して仕事面で評価されたタレントや芸能人がいます。例えば、長渕剛さん(アイドル歌手の石野真子と離婚後、女優の志保美悦子とTVドラマで共演した縁で再婚)、例えば、東国原英夫さん(女優のかとうかず子さんと離婚、現在のところ独身)。がらりと、結婚前とイメージが変わりました。離婚を経験した僕は、少しだけ彼らの気持ちがわかります。「俺は甲斐性なしなんかじゃない!」と歯を食いしばってリトライした気持ちが。

当時の私は「精神分析」の知識はまったく持っていませんでした。しかし、今から考えると必死に自己分析し、自分がしたい事を明確にして、それに突き進んだことが、病気の再発の阻止、心身の健康の獲得につながったものと思います。・・・とかっこ良く言い切りたいところですが、現実には、音に対して過敏だったり、不安感が込み上げてくると過呼吸気味になったり、自律神経失調症の諸症状との付き合いはしばらく続きました。

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7、その他

携帯電話

劇中でツレが着信音に驚くシーンがあります。「携帯電話って急に鳴るから怖いんですよね」と。私も未だに携帯の着信音は苦手です。時代の要請ですので、携帯電話を持たないわけにはいかないんですが、何時でも何処でも容赦なく(笑)音がする、そしてその着信は誰からかわからない・・着信番号が登録してあれば別ですが。要は神経過敏な状況にあると、携帯電話って健康に悪いんだと思います。心が休まらないから。

私は思います。文明が発達?した中で、車は文明の利器だとかいって、人間は車社会を形成しました。道路をアスファルトで固め、街を信号機と交通標識で埋め尽くし、更に、多くの交通事故犠牲者を出してまで。そして、今度は、交通渋滞緩和の為にノーマイカーデーを設けましょうと市役所のポスターに謳ってあります。そのうち、携帯電話も、「今日一日携帯の電源をオフにして、孤独になりましょう!」「ノーケイタイデーを設けましょう」等と言い出すに違いないと私は確信しています。世の中は、便利になりすぎました。

以下ネットから引用
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上司からの着信で心身を病む「電話恐怖症」が爆発的に増加中

NEWS ポストセブン 11月8日(火)16時5分配信

「どうしてメールで済ませるんだ! 電話をしろ!」――上司からのぼやきも聞こえてくる時代だが、通話より時間が短縮できるという理由ではなく、通話自体を恐れてメールに頼る若者が増えているという。ビジネス現場の携帯電話やメール使用に詳しいアイ・コミュニケーション代表取締役の平野友朗氏が語る。

「約束の時間に遅刻してしまう場合でも、電話ではなくメールで連絡を済ませる若手社員の方が増えています。上司から怒られるのがわかっているから電話することができず、メールという便利なツールに逃げ込んでいるんです。メールでも伝われば同じじゃないかと開き直る人までいます」

上司への連絡ならまだしも、お客様や取引先への謝罪をメールで済ませてさらに大きな問題に発展するケースも少なくない。

電話に出られる状況でもあえて出ずに、留守電で用件を確認し、心の準備をしてから折り返す人もいる。

「電話が嫌いな人は、下手なことをいいたくないから、情報を頭の中で整理したうえで応答したいと思っているのではないでしょうか。電話というのは立場が下の人が相手に合わせるというのが普通なのですが、最近はどうやら立場が下の人でも主導権は渡したくないという気持ちが強いようです」(平野氏)

精神科医の浅川雅晴・浅川クリニック院長は、子供の頃からTVゲームに没頭してコミュニケーションに欠陥がある若者が、上司からの着信に追い詰められて心身を病む「電話恐怖症」の増加を指摘する。

「上司から頻繁にかかってくる電話に頭を悩ませ、うつや動悸・頭痛・吐き気・多汗などの心身症を発症する人が増えています。着信音に恐怖を感じる人も多く、聴覚過敏や幻聴に陥ることもあります。携帯が普及して15年近くになりますが、5年、10年の長い時間をかけて今、爆発的に症例が増えているのです」

また、上司からの電話を取り損なうことを恐れるあまり、マナーモードにしてポケットに入れた携帯が、着信していないのに振動していると錯覚する人もいる。これは幻想振動症候群(phantom vibration syndrome)といわれるもので、携帯の着信に対する過剰意識が生み出したもの。何かが太腿に触れただけで、脳が携帯のバイブと誤認してしまうという。

電話の取り逃しを防ぐために、歩行中は必ず携帯を手に持つという人もいる。「トイレの個室の中でも上司の電話に応対する同僚を見て心配になった」(30代・金融)と、必死に食らいつく若者もいるようだ。

※週刊ポスト2011年11月18日号
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以上ネットから引用

健康管理(体重管理)

私はサラリーマン退職間際、体重が70キロ位ありました。今は63~64キロ位だと思います。以前、私が太り気味だった原因は、交通の不便な地方に転勤になった為、どこへ行くのにも車での移動を余儀なくされカロリー消費が減った為。更に、ひとり暮らしの為に食事は、カロリーが高いコンビニ弁当やほかほか弁当が主流で脂質の摂取が多かった為だと思います。

ある日、栃木県の健康指導員の方に「あなた、このままでは確実に心臓病になりますよ」と脅かされてから、会社の昼休みにウォーキングを始めたり、天気の良い日は会社まで歩いて通勤する等して、努めて体を動かすようにしました。体重が減りだしと気分(体調)もよくなり夜も熟睡できるようになりました。福岡に戻ってきて、更に私の健康戦略は強化され、食べ物の主力は納豆と野菜、牛乳はやめて豆乳を飲む様になりました。すると、時々あった下痢は一切なくなり胃腸の調子は目に見えてよくなりました。やはり、牛乳は負担が大きかった様です。豆乳の方が値段も安いですからお財布にも優しいです。

食生活

劇中でうつになったツレにハルさんが「うつにいいらしい」と野菜たっぷり鍋をつくります。ツレは「食欲がないんだ」と一言。「でも、これなら食べれそう」と納豆を手に取ります。納豆嫌いのハルさんは、納豆に匂いに如実に嫌な顔をします(笑)。

(私の場合)

普段の食事:納豆、梅干し、鰹節、野菜ジュース(人参、トマト、レモン、グレープフルーツ、りんご、大根おろし)、キャベツ、エビオス錠(天然素材ビール酵母:必須アミノ酸9種類)・・その他、冷凍ちゃんぽん、菓子パンなど(笑)。私の場合、日本人の主食の米を常食していません。炭水化物は他で摂取できているので、食べなくても死なないと言う理屈です。お米屋さんごめんなさい。

体調がよく、気分もいいと、皮膚も綺麗になってきます。以前は頻繁に発生していた乾癬もほぼ再発しません。普段のスキンケアには馬油(薬師堂)を常用。

以前は、何かしら不安を感じると、過呼吸になったり、軽いパニック障害を経験したりしたのですが、最近では、そんな事も殆ど起こりません。いや、そう言う不安な気持ちになるのがイヤだから、せめて自分の心身のコンディションを少しでも良くしようと、仕事をして経済的基盤を整えて、生活のリズム、食生活に気を配る様になったのでしょう。まぁ自分が幸福ならば結果オーライでそれもいいと思います。

労働環境

最近では、労働基準法を無視して、サービス残業(ただ働き)を強要する会社(ブラック会社)の存在が社会問題になっています。株式を公開している様な大きな会社でさえ、未払い残業代の支払いを指導されたりしています。世の中は一定のルールで動いています。コンプライアンスを軽視する会社は市場から追放されます。困ったら労働監督署に相談しましょう。客観的事実が証明できれば貴方の力になってくれる筈です。労働監督署にはちゃんと検査官が常駐しています。

労働メンタルティ

日本は良質な労働力を有する。日本人は勤勉な国民・・と称されます。そして、バブル崩壊以前は当たり前だった終身雇用制度。

日本の会社組織では、社内報で勤続◯十年の社員が表彰されたりしますね。日本人のメンタルティとして「この道一筋◯十年」とか「あの人は生え抜きの社員」だとか「会社に勤め上げる」とか・・組織に忠誠を誓い、いついつまでも会社と一緒・・と言うメンタルティを是としてきました。

持っている名刺も◯◯会社の◯◯と言う部署の◯◯役職の鈴木さん、佐藤さん、山田さんと言う立ち位置で活動しています。それでもって、鈴木さんの奥様は部長の奥さん、佐藤さんの奥様は課長さんの奥さん、山田さんの奥さんはただの奥さん・・と言った様に会社本位の構成になっています。笑。

会社は自分の自己実現の手段である筈なのに、いつか本末転倒して、自分の存在は会社員である為の自分になっています。会社を辞めること=社員である自分の立場の喪失=自己の死・・であるかの様な捉え方になっています。

これでは「何が何でも会社の一員でいなければならない」と思うのも仕方ないでしょう。四大証券会社の一角、山一證券の倒産に始まって、大きな会社組織が再編され続けています。最近では、三洋電機がパナソニックに吸収されました。

通勤の満員電車が嫌なら歩いていける会社を選べばよい。会社が自分に沿ぐわなくなったら転職すればよい。人は会社の為に生きているのではない。・・そうメンタルティ(精神性)をシフトすればいいと思います。

うつ病と上手に付き合うコツは「~しなくてはならない」「~ねばならない」をやめる事だと思います。

なんの為の結婚?

劇中でハルさんは言います。結婚式の時の新婦の誓いの言葉を思い出したと・・。これです、これ。「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」・・・

新郎であるツレが面倒な病気に罹ったら、ツレの健康を優先させ、ツレに「会社を辞めないなら離婚する」と迫ります。

「ツレがうつになりまして。」の原作者の細川貂々さんが取材に答えてこう述べられていました「パートナーがうつ病になると"夫婦力"が問われる」と。

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8、うつ病とは(肛門期的性格)

精神分析家の先生から頂いたヒントや、精神分析関連のサイトから抜粋した情報を以下に列記します。あわせて参考サイトへのリンクもはります。

以下、ネット上の難しい解説の引用
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精神分析におけるうつ病の病因論は、『強烈な超自我によるエスの過剰な抑圧』を元にしたものであり、精神運動を活発化させる精神エネルギーであるエスの過剰抑圧によって様々なうつ病症状が発症すると考えました。抑うつ感や意欲減退をもたらす根本原因は、『厳格な超自我によるエスの性衝動・攻撃衝動の強い抑圧』にあると精神分析では考えます。

精神分析的には「肛門期的性格」由来の「心の病」と言えます。
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以上引用

こう言う学者さんの能書きの様な説明では何の事は意味不明です(笑)。
以下の文言で謎解きをしていきます。

精神分析の世界でのうつ病の定義は・・精神的活力の根源(エス)を過剰に抑えつける事によって起こる諸症状=こころの風邪=うつ病と言うわけです。

肛門期云々についてネットから更に難しい解説を引用します。
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肛門期性格とは?

フロイトの性的発達理論と肛門期性格(anal character)

うつの根源は「肛門期的性格」であると解く。

精神分析学の創始者であるS.フロイト(1856-1939)は、人間の精神発達過程を説明する理論として性的精神発達理論(リビドー発達論)を提唱した。

リビドー発達論ではリビドー(性的欲動)を充足する「性的部位」によって発達段階を考えるので、

口愛期(0歳~1歳半頃)(口唇期とも言う)
肛門期(1歳半~3歳頃)
男根期(エディプス期,4歳~6歳頃)
潜伏期(6歳~12歳頃)
性器期(12歳以上の性器統裁の段階)」という発達段階に分類される事になる。

肛門期の発達段階にリビドーが停滞することによって形成される性格傾向が肛門性格(anal character)であり、その特徴として『倹約・吝嗇(ケチ)・頑固・几帳面・神経質・強迫的』などを上げることができる。倹約やケチなどの特徴は、大便の保持によるリビドー充足への固着であり、お金・利益・時間を必要以上に保持することにつながっている。

融通の効かない頑固さや偏屈さというのは、トイレット・トレーニングを強制してくる母親への抵抗への固着であり、受動的攻撃性を持つ特異な性格構造につながっている。

強迫的な几帳面さや礼儀正しさは、肛門期特有のサディズムに対する反動形成の現れであり、肛門性格では特定の行動や規範に対する従属性が見られることがある。

強迫性障害と肛門性格の関連性について指摘した精神分析家の意見は多いが、エビデンスベースドな心理学では強迫性障害の生物学的原因(セロトニンの分泌障害)が重視されている。
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以上、引用

精神発達論における肛門期的性格が、几帳面で融通がきかない所謂A型人間っぽい性格であり、うつ病に罹りやすい性格であると言えます。

次に、ラカン精神科学研究所の安情先生のオールOK!子育て法のサイトから以下の記述を引用します。上記の説明より、いくぶん優しくわかりやすく、肛門期を説明されています。
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<肛門期(おおむね2歳から4歳頃まで)> 幼児期(前期)

「三つ子の魂百まで」というように、人間の基本的精神構造は3歳までにかなりの部分が出来上がる。この時期母親がしっかり抱いて、愛情もって世話することが大事である。

この時期、離乳と共にトイレット・トレーニングが始まる。これまで乳児は好きな時に、好きなところでオムツの中に大・小便をしていられた。ところがトイレット・トレーニングにより、母との権力闘争が始まる。母の言うことを聞けば誉められるが、逆らえば叱責される。どちらを選ぶかを決めなければならない。これが人間にとって最初に求められる「自律性」である。

この時に、母があまりに厳しく叱ったり、潔癖で常にオムツの中をチェックしたり、または過剰にだらしなくて、オムツがいつまでも濡れていても換えなかったりすると、子どもは、「肛門期性格=マルバツ式性格(オールオアナッシング)」となる。

肛門期性格は、世界をマルバツ式に2分化する。対立するテーマを統合できず、極端な一面しか表現できない偏執的行動化へといたる。例えば、支配と服従、不潔と清潔、勝ちと負け、などである。

更に、両親の処罰恐怖から、課題を間違えないように何度も繰り返す「強迫性格」と、それに拘る「執着性格」に支配される様になる。

母との「分離・独立」を目指しつつ、母への再接近を試み、母に呑み込まれるでもなく、見捨てられるでもない、母との程よい距離や関係を反抗という形で再構築するのが、肛門期の適切な心の発達である。
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次に、シニフィアン研究所の迎意先生の精神分析的子育て法のサイトから以下の記述を引用します。こちらは更に、具体的に肛門期について解説されています。

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肛門期の子ども(生後15ヶ月~36ヶ月)

テーマ 『自律性の獲得』

この時期になると、独立歩行をし、視野や行動範囲も格段に広がってきます。言葉も使い始めるようになり、あらゆるものを「母と分かち合いたい」と思うようになり、様々な欲求を出すようになります。ところが、それまでは、自分の思うとおりになったのに、母はすべての欲求に答えてくれるわけではないことを知り(禁止に出会う)このことにより、幼児は、母は自分とは違う個体として見るようになります。つまり、自分の思うとおりにあやつれる万能感を持った世界に別れを告げなければならなくなります。

その象徴的出来事が、「トイレットトレーニング」です。それまでオムツの中に「垂れ流し状態」だった幼児は、排泄に関して制限をされる体験に出会います。すなわち、母との権力闘争が開始されるのです。ここで繰り広げられるドラマは『支配と服従』です。母の支配の下で、どれだけ自らに自律性を持ち続けられるか?母はうまく躾けられない不安から、威嚇と処罰で立ち向かい、幼児は、母に従う事で喜ばせたり、拒否することで親を苛立たせて母をコントロールすることを学ぶのです。

大切なことは「程よく躾ける」ことです。厳しすぎる威嚇や体罰、暴言などは、相反するものを程よく統合することができず、後に、自分に都合の良い片面しか表現できない、極端な行動や性格を作り出す基となります。これを関係障害といいます。

◆ 肛門期の関係障害と肛門期性格

受身性   対  能動性
依存性   対  独立性
従順    対  頑固(強情)
マゾヒズム 対  サディズム
浪費    対  吝嗇
無頓着   対  几帳面さと綿密さ
不潔(汚い)対  清潔(きれい)
攻撃性   対  礼儀正しさ
負け    対  勝ち

など、対立する概念のすべてで、それらの片面だけ表現している場合でも、その反対の面はその人の空想の中に必ずあります。

例えば
「白黒はっきりないと気が済まない」
「それは良いこと?悪いこと?」
「何でも極端で真ん中がない」

あるいは
「あの人にあんな面があったなんて、、、」
「あの人がそんなこと言う(する)なんて考えられない」etc

肛門期性格と言われる人は世界を白黒式に二分した関係障害を持ち、両親(他者)からの処罰されるかもしれない恐怖から間違えないようにと何度も繰り返す「強迫性格」とそれにこだわる「執着性格」が基本にあると言えます。

代表的なその性格を表わす言葉は「クソ真面目」「クソ度胸」「ヤケクソ」とにかく、極端で中庸がないのがその特徴となります。

余談 社会は「勝負の世界」でもありますから、肛門期社会だと言えます。だとしたら、社会の中で適応して生きてゆくためには、この時期のテーマである自律性を獲得している必要があるでしょう。
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以上、引用

肛門期的性格を理解していただけましたか?「過ぎたるは及ばざるが如し」と日本の諺(ことわざ)にもあります。YESか?NOか?ではなく、程よい関係を持てる適応力(ひいては自律性)が破綻した結果の病気と言えばいいのかな?と思います。

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9、うつ病とは(抑圧という防衛機制の破綻)

シニフィアン研究所の迎意先生からお伺いした「うつ病は抑圧という防衛機制の破綻である」と言うキーワードについて解説します。

防衛機制(ぼうえいきせい)とは精神分析で用いられる用語であり、欲求不満などによって適応が出来ない状態に陥った時に、不安が動機となって行われる自我の再適応のメカニズムを指す。広義においては自我と超自我が共同して本能的衝動をコントロールする全ての操作を指す。一般的には防衛は、自我(あるいは自己)が認識している、否認したい欲求や不快な欲求から身を守る手段として用いられると理解されている。

防衛機制の解説

防衛機制をわかりやすく解説した文章を引用します。

以下、引用
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「防衛機制」とは、自分自身の心を、さまざまな方法で守ることです。
 たとえば、急に危機的な状況に陥ったとき、誰でも考えがまとまりにくくなったり、何も手に着かなくなったりします。もちろん、自分の能力や他人の援助で、なんとか踏ん張って、危機的状況を乗り越えられれば問題ないのですが、いつもうまくいくとは限りません。そんなときに、心が分裂したり、崩壊したりすることを防ぐ心のメカニズムが、「防衛機制」です。

 「防衛機制」には、いろいろなものがありますが、どれも心の病気と密接に関係しています。しかし、「防衛機制」があるからといって、すぐに病気だと考えるのは間違いです。

 「防衛機制」は、どんな状況に陥っても、なんとか意識の連続性を保つための、一時的な「心の安全装置」だと考えていいと思います。ただし、この安全装置は、心の自由を奪いますし、ずっと作動し続けると負荷がかかって、安全が保てなくなってしまいます。そんな場合に、心の病気が発生します。

 それでは、「抑圧という防衛機制」について以下の文章を引用します。
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1.抑圧

 自分自身の中で、自分自身が受け入れられない考え方や感情、記憶を否定し、なかったこととしたり、無理矢理忘れようしたりすることです。

「抑圧」というのは、自分自身の心のなかで、自分自身が受け入れられない考え方や感情、記憶を否定することから始まります。

 たとえば、幼少の頃、大切な存在である親に、一生懸命行ったことを嘲笑されたり、わざとらしく失望のため息をつかれたりすれば、誰でもひどく傷つくと思います。

 そんなとき、親に見捨てられたと感じてしまうかもしれません。子供にとって、親に見捨てられたという事実は、とてもつらく悲しいものです。簡単に受け入れられるものではありません。

 言葉が充分に発達した大人であれば、親に見捨てられたという事実を正面から受け入れ、その耐えがたい状況を解消することもできます。

 たとえば、「今回は親に見捨てられるようなことをしてしまったが、すぐにほかのことで挽回できる」などと考えられれば、それで解消するはずです。

 ところが子供は、言葉が未発達なため、耐えがたい状況を解消するような思考ができません。さらに、子供にとって親の存在というのは、絶対そのものです。

 その親に見捨てられたという気持ちを持ち続けることは、至難の業でしょう。

 そんなことから、子供は、見捨てられてしまったという気持ちを、なかったこととして忘れようとします。これが「抑圧」の典型例です。

 しかし「抑圧」という方法は、自分自身の考え方や感情、記憶の一部を無視または否定することですから、どうしても精神的に不安定な状態になります。

 現実に起こった事実は、本来否定しようがありません。いくら無視したり否定したりしても、心の奥底では事実だとわかっているわけです。

 自分自身が、意識上の偽りの自分と、心の奥底に「抑圧」した現実の自分に別れてしまうと考えてもいいでしょう。その2つの自分は、もちろん矛盾し合っています。

 このような状態を、「葛藤」といいます。

 自分の心の中で「葛藤」が起こると、意識上は、原因不明の不安として感じられるようになります。

 この不安から逃れるためには、すべてを思い出し、親に見捨てられたというつらく悲しい事実に直面しなくてはなりません。

 しかし、それは、とても耐えがたいことでしょう。そのせいで、「抑圧」し続けることになってしまうのです。

 言い換えれば、親に見捨てられたという事実に直面して耐えがたい状況に陥るよりも、「抑圧」して「葛藤」の不安に悩まされる方を選ぶというわけです。

 いくら不安であっても、なにかほかのことに夢中になっているときには忘れることができますし、ほかのことで親に認められることもあるかもしれません。

 そうして、親に見捨てられたというつらく悲しい事実から、目をそらすわけです。

 「抑圧」された体験というのは、心の奥底にずっと残っています。

 そして、あるとき突然、心に傷を負ったときと同じような状況に置かれたとき、心の奥底で以前味わったつらく悲しい体験が、刺激されて暴れ出します。

 これは大変な状態です。過去のつらく悲しい体験が意識上に上ろうとするため、「抑圧」を強めなくてはなりません。「強い葛藤状態」に置かれるわけです。

 心の奥で「強い葛藤」が起こると、精神力がその「葛藤」に使い果たされてしまいます。

 「強い葛藤」は、意識上で強烈な不安として現れてきます。さらに、精神力が使い果たされているため、なにかに集中することもできません。

 このような状態が何度も起こり、日常生活に支障が出てきた場合を、一般的に「神経症」と呼びます。

2.合理化
3.同一視
4.投影
5.反動形成
6.逃避
7.置き換え
8.補償
9.昇華

2~9に関しては別項:防衛機制を参照して下さい。
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以上、引用

以下は蛇足です・・・昔、大学の教養課程の心理学ででてきましたよね。防衛機制の合理化の例え話で有名なのはイソップ寓話の一つである「すっぱい葡萄」・・この話は皆さんご存知ですよね。

以下Wikipediaから引用
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すっぱい葡萄

すっぱい葡萄(すっぱいぶどう)はイソップ寓話の一つ。狐と葡萄ともいう。

あらすじ キツネが、たわわに実ったおいしそうなぶどうを見つける。食べようとして跳び上がるが、ぶどうはみな高い所にあり、届かない。何度跳んでも届かず、キツネは怒りと悔しさで、「どうせこんなぶどうは、すっぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか。」と捨て台詞を残して去る。

解説 手に入れたくてたまらないのに、人・物・地位・階級など、努力しても手が届かない対象がある場合、その対象を価値がない・低級で自分にふさわしくないものとみてあきらめ、心の平安を得る。フロイトの心理学では防衛機制・合理化の例とする。また、英語圏で「Sour Grapes」は「負け惜しみ」を意味する熟語である。
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以上引用・・・思い出していただけましたか?^^

この「心の安全装置」である「抑圧の防衛機制」で対応できている状況なら問題ないのですが、この心の安全装置を持ってしても対応できない状態になった場合、・・抑圧の防衛機制が破綻してしまい、心の病=うつ病が発生するのです。

精神分析の世界では、身体に発生する諸症状は、心の安全装置では対応できなくなった心の問題の表れとされています。

そして「うつ病は、相手(他者)への攻撃心を抑圧しきれず、自分に向かう精神構造が考えられる。」とも言えます。何も、わざわざ我が身に身体症状を起こさなくてもよいのに、自分自身を攻撃してしまう精神構造であると言う事です。

記憶に新しい、秋葉原無差別殺傷事件を加害者:加藤智大被告。彼の場合は、攻撃性を無差別な他者へ向ける精神構造だったと言えます。

参考サイト:秋葉原無差別殺傷事件2 加藤智大
参考サイト:秋葉原無差別殺傷事件 加藤智大

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10、まとめ(その後のツレとハルさん)

以上、精神分析の世界観でうつ病を考察しました。

うつ病は簡単な病ではありません。セロトニンを服用すれば一週間で治ります・・と言うものではありません。

うつ病に関わった人の多くは、うつ病は「なんとも厄介な病気」だと思うはずです。

「ツレがうつになりまして。」の劇中でも、ハルさんはうつ病を「宇宙風邪」と称していたりします。

そして、ハルさんはこうも言いました「ツレがうつになった意味を考え始めた」と。

人の心の構造は様々です。父と母の子供として数十年。その時々の養育環境、家族環境、社会環境の中で、私達各々の精神は構築されていったのです。

人の心の構造は急変できないのもかかわらず、一個人の環境や立場は目まぐるしく変わっていきます。

精神分析の世界では、精神発達論に基づいて、貴方の心の構造を解明していきます。その根幹の部分は、人生最初の人間関係である「親子関係」が基礎になっています。

例えば、私個人の心の構造はこうです・・。

私は宗教中心主義の家に生まれ育ちました。生まれて有無を言わさず入信。物心がついた時には、宗教活動をしないと生きていけない状況にありました。宗教一家の目標と題目は「世界平和」と「絶対正しい宗教」。

そう言う、宗教世界観にどっぷりとつかれればよかったのかもしれませんが、私はオウム真理教の上祐君みたいな生き方はできず、常に、うわべ上信仰している私と、いつかこの宗教界から離れて生きていこうとする私と、仮面(ペルソナ)を付け替えながらダブルスタンダード(二重基準)の生活を送っていました。

私からみると親と宗教は一体であり、親は「宗教のなのもと」に子供を支配していました。ですから、生活する上での主体は宗教と言う事になります。

因果応報:正しい宗教をしているのだから、常に正なる結果を要求され、失敗は許されない。私はそういう「人生シナリオ」を親から渡されていました。

大学を卒業し、名の知れた企業に就職。ある程度の収入もあり、自分なりにダブルスタンダードな生活を具現化して来たのですが、バブル崩壊後は、心身ともに破綻をきたしたのでした。

私の場合は、うつ病ではなく自律神経失調症と診断されましたが、抑圧の防衛機制が破綻し、身体症状があらわれた経過はうつ病と同意だと思います。

結局、私は、ダブルスタンダード(二重基準)の生活を送るのをやめ、「本当に、自分がしたかった事はなんだろう?」と自分の生きる意味を再考せざるを得なかったのです。

今から思えばこれが精神分析の世界で言うところの自己分析だったのですが。

毎日、思う存分自分のしたい事をする。・・そんな人は「うつ病」にはかかりません。はなっから、抑圧の防衛機制などする必要もないからです。

うつ病にかかって自殺する人が多くなったのならば、言い換えれば、防衛機制が破綻し、心が分裂したり、崩壊したりして「死」を選択する人が増えたという事です。

惟能創理先生のもとで、精神分析家養成講座を受講され、精神分析家として活動されている方々は、精神分析家の呼称としてインテグレーターと名乗っています。心の統合者(インテグレーター)の意味です。

防衛機制が破綻して、身体症状有しているクライアントの心の叫び(無意識)に耳を傾け、破綻した心を再構築していく・・精神分析家とはそういう仕事を担っています。

興味ある方は、下記の精神分析家ネットワークからお近くのインテグレーターに問い合わせをしてみて下さい。

平成23年10月31日 月刊 精神分析 編集部A
ツレがうつになりまして。
追記:その後のツレとハルさんについて。

映画の中では「ツレがうつになりまして。」を出版。ツレが講演活動やハルさんのマネージメントの仕事を自宅でする様になるまでが描かれています。その後、ツレは見事に社会(会社)。復帰と言うわけにはいかず、ツレさん一家は、ハルさんの漫画執筆活動で生活されてる模様。ツレが主夫&育児をしている様子を「ツレはパパ1年生 (朝日文庫)」として出版(発売日:2011年9月7日)されている。映画も、ハルさんが「ツレがうつになりまして。」を出版する時点まででストーリーは終了している。

うつになったものの、社会復帰している人も多い中、ツレとハルさんの生活の形はこうなりました的なところが落とし所になっている。多分、世間は「ツレよぉー才能のある奥様に収入があってよかったなぁ」「世の男の大半は女房子供食わせて住宅ローンの支払いで大変なんだぞ」と言う見方をするに違いない。

サラリーマンの旦那がうつ病になって会社に行けなくなったら?奥さんがパートでどんなに頑張ってもワーキングプアから抜けだせず、それこそ、生活保護世帯+1確定になってしまうのが普通で、ツレ&ハルさん夫婦の形はレアなケースなのではないだろうか?

しかしながら、ツレがうつにならなかったら、ハルさんが「ツレがうつになりまして。」を世に送り出す事もなかっただろうし・・人生、何が災いして何が幸いするのかわからない。

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11、まとめ(精神分析的視点から)

以下は、月刊精神分析 編集部Aの考えです。

うつ病は几帳面な人がなりやすいと言います。

几帳面な人は「ここはこうでなければならない」と言う拘(こだわ)りを持っています。私的な事でも拘りますので、公的・・例えば仕事面ではもっと拘り、課せられた仕事やそのノルマを忠実に果たそうとします。

ところが、高度に複雑化し効率を要求する会社の業務はそう簡単に運びません。人はコンピューターではなく、ロボットでもありません。感情や精神を内在しています。ところが、会社組織は個人特性や都合はお構いなしに会社組織の都合を優先させます。個人でもこう言う扱いですが、会社の上層部は常に株主から厳しく管理責任を問われ、好業績を要求されます。中間管理職は上から押さえつけられ下から突き上げられます。ピラミッド型の組織の中で、上も下もストレスにさらされ続けます。

日本の名だたる製造業の雄、大企業と称される・・例えばパナソニック、ホンダ、ソニー、トヨタという戦後、世界を席巻する製品を生み出した企業でさえ、現在はグローバル経済のもと世界市場の中で厳しい競争にさらされています。中小企業などは、日々淘汰の最中にあると言っていいでしょう。

話を個人に戻します。思う様に事が運ばない時、人の心は防衛機能(先述)で対応しようとします。ところが、防衛機能で対応できない程の事態(心の破綻)が発生した時、人は「病」にかかるのです。

ある人は心の病としての精神病的な症状を表し、ある人は原因不明の肉体的疾患の症状を表すのです。前者の心の病の代表がうつ病であり、後者は私が体験した様なアレルギー性の皮膚病などが例としてあげられます。

参考サイト:月刊 精神分析 2010年12月号 皮膚と自我

更に、個人の心の病や、肉体的な疾患として表現されずに、社会的に大きなニュースとして取り上げられる事件を起こす事で「心の破綻」を表現する人がいます。例えば、秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大さん。昨今、極度の経済苦でもなく肉体的には健康であるのにも関わらず「誰でもよかった」と言う常套句を吐きながら無差別殺人事件をおこす人が後を絶ちません。

参考サイト:秋葉原無差別殺傷事件2 加藤智大
参考サイト:秋葉原無差別殺傷事件 加藤智大


精神分析学の創始者、ジークムント・フロイトは、「心の病」の原因は、人の精神構造にあるとし、人の精神構造の基礎(ベース)としての無意識・コンプレックス(複合観念体)に着目しました。そして、「無意識・コンプレックス」の構造を解き明かす学問として1886年「精神分析」が誕生しました。

そして100年の時は流れ、1992年。惟能創理先生は、精神分析家をインテグレーターと再定義しました。日本語に言い換えると「統合者」です。

本来、システマティックに構造化されている筈の精神がバラバラになっている・・その心の病を分裂症と称していますが、分裂している精神を統合する人が精神分析家つまりインテグレーターである。インテグレーターには、そう言う「意味」が込められています。

では、バラバラに分裂している精神を統合するにはどうしたらいいのでしょう?今の精神の状態をバラバラから統合に変化させなければなりません。どうしたら精神(無意識・コンプレックス)を変える事ができるでしょうか?

精神分析では、「言語化」と言う手段を用います。無意識を言語化する事によって、無意識は意識され書き換えられます。意識された無意識は、すでに無意識ではなくなります。これを「無意識の意識化」といいます。

精神分析の世界では、これを広い意味の総称で対話療法(セラピー)と言っています。

人は、胎児として母親の子宮の中に宿り、出産を経てこの世に誕生し、母と父と家族と家庭環境、様々な社会状況のもとで固有の精神を構築していきます。

二十年、三十年、四十年かけて構築してきた精神構造です。容易に変える事はできませんが、毎日、毎日、言語化し意識化すれば、無意識を書き換える事は可能です。

精神分析の世界では、人は無意識に操られていると解きます。人の運命は無意識によって決定していると言います。

したがって、人は「無意識を書き換える」事によって、自分の運命を変える事ができるのです。

話を「うつ病」に戻します。その人の無意識の構造(在り様)が原因で心の病になってしまったのなら、無意識を書き換える事によって、心の病を治療する事が可能なのです。

映画「ツレがうつになりまして。」の舞台に話を戻します。ツレは過労でうつになってしまいました。きっと心の中は「ねばならない」で一杯の筈です。会社に行かねばならない。満員電車に乗らなければならない。会議に出なくてはならない。納期を守らねばならない。取引先から苦情が来ないようにしなければならならない。会社は辞められない。嫌な上司のもとで働かねばならない。同僚に迷惑をかけらない。すべて「ねばならない」で完璧にこなそうとしていた筈です。

こう言った性格を精神発達論の中で「肛門期的性格」と言います(先述)。

どうです?これがいい加減でチャランポランの人なら、この「ねばならない」の数は少なく、程度も軽かった筈です。例えば、これも映画化された漫画「釣りバカ日誌」のダメ社員浜ちゃん(浜崎 伝助)の様な人・・・^^。

参考サイト:釣りバカ日誌

もっともあんまりチャランポランの度が過ぎると信用を失いますのでそれも考え物ですが、適度に几帳面、適度にチャランポランが大切なのです。

中庸という概念があります。

以下、Wikipediaから引用
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「中庸」の「中」とは、偏らない、しかし、決して過不及の中間をとりさえすればよいという意味ではない。よく、中途半端や50対50の真ん中と勘違いされている。中間、平均値、足して2で割るというものではない。常に、その時々の物事を判断する上でどちらにも偏らず、かつ平凡な感覚でも理解できるものである。
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以上引用

果てしない効率の追求によって、現代人からは、この「中庸」と言う概念が希薄になってしまったのかもしれません。過ぎたるは及ばざるがごとし。

病気になるまで「ねばならない」を抱え込むのは健康を害し、詰まるとところ最終的には仕事ができないどころか、会社に行くこと、朝、布団から出ることさえ出来なくなってしまいします。

私が考える、精神分析的うつ病治療のアプローチはこうです。

1、倦怠感、不眠症、食欲不振など、顕著な肉体的症状がある場合。一時入院および投薬治療にて治療し、セラピー可能な状態にする。必要であれば一時休職、ないし精神的負荷軽減の為の配置転換も要。

2、セラピーをしながら、なぜに、うつ症状を発症するに至ったのか(原因)分析する。

3、肛門期的性格を書き換え、思考を「ねばならない」から「○○でもいい」に転換する。

4、多くのうつ病患者は、「自分は生きていていいの?」「死にたい」など自己否定志向になっているので、肯定感を持ってるようにリードする。

5、早期に社会復帰できればよいが、慌てずに徐々に対応するのが肝要。

うつ病は、本人の気質に起因する精神的病故「なばならない」にとらわれている精神構造のリインテグレーション(再統合)が必要となる。

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12、セロトニンについて(付録)

セロトニンとは「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。

セロトニンは人間の精神面に大きな影響与える神経伝達物質で、セロトニンが不足すると、うつ病などの精神疾患に陥りやすいと言われています。

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的(キレる)になったり、うつ病を発症すると言われています。

セロトニンの名前はうつ病などの精神疾患に関する話題と同時に語られることが多いようです。

最近では特にうつ病の患者数や自殺者の数が増加し続けているため、TVや雑誌でも目にする機会が増えてきました。

セロトニンは自然界の動植物に一般的に含まれる物質で、トリプトファンと言う物質から生合成されます。

人体中には約10ミリグラム程度が存在しており、そのうち約90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞と呼ばれる細胞内にあり、消化管の働きに作用していると考えられています。

体内の残り10%のセロトニンのうち、8%は血小板に収納され、血液の循環を通じて体内を巡ります。

残りの僅か2%が脳内の中枢神経に存在し、人間の精神面に大きな影響を与えていると考えられています。

セロトニンの働きが鈍ったり、不足したりするとうつ病などの精神疾患にかかったり、セロトニンの濃度が高くなるとセロトニン症候群と言われる中毒症状が現れるなど、私たち人間の精神の安定にセロトニンが大きく影響していると言えます。

多くの現代人がセロトニンの不足に直面していると言われています。

昨今大きく取り上げられている、うつ病患者数の増加や、自殺者数の増加、キレる未成年の増加はセロトニンの不足との関わりが指摘されています。

セロトニン研究の第一人者である東邦大学医学部の有田教授は、

昨今、大人から子供まで、セロトニン神経の減弱している方が多数見受けられます。現代特有のライフスタイルにその原因があるのではないかというのが私の見解です。 過度なコンピュータ操作、テレビやゲーム漬けの毎日、運動不足、昼夜逆転の生活リズムなどの不規則な生活...。 本来、規則正しい生活リズムで、軽い運動や日光浴などで、自然と活性化されるはずのセロトニン神経も、これでは衰える一方です。 セロトニン不足の原因を現代社会のライフスタイルであると分析しています。

また、高齢による身体機能の衰えもセロトニン不足に繋がると言われています。

セロトニン神経の活動には、日光が大きく影響します。
昨今、子供達の遊びは屋内型の傾向にあります。
連日にわたり長時間ゲームをやり続けるという習慣等は、セロトニン神経が弱体化しやすくなります。

現代人は、知らず知らずのうちに慢性的なセロトニン不足に陥り、気が滅入ってうつっぽくなってしまったり、ココロのバランスが崩れてキレやすくなってしまったりするのです。

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13、防衛機制

1.抑圧

 自分自身の中で、自分自身が受け入れられない考え方や感情、記憶を否定し、なかったこととしたり、無理矢理忘れようしたりすることです。

2.合理化

 何かと理由をつけて、自分自身の正当性を確保したり、ほかのものに責任転嫁をしたりすることです。
 たとえば仕事で失敗したとき、こんな難しい仕事を押しつけた上司が悪いとか、無能な部下が悪いなどと言って、自分の失敗を認めないことなどです。
 自分自身が受け入れたくない現実(失敗や欠点)を、受け入れられる形に無理矢理変形しようとすると考えてもいいでしょう。疲れていたり、精神的に余裕のない時には、誰にでも見られる行動です。
 ただし、「合理化」を繰り返すような場合、抑圧された「自己嫌悪」や「自己不信」などがあり、「葛藤」に苦しんでいると考えられます。そのせいで、受け入れたくない現実を、無理矢理変形しようとするわけですね。

3.同一視

 他人が持っている優れた能力や実績を、自分のものであるかのようにみなしたり、感じたりすることです。優れている他人と同じような行動をすることも含まれます。
 スポーツ選手や有名アーティストの熱狂的なファンなどが典型例です。
 恐怖の対象となっている親や幽霊のまねをする場合には、特に「攻撃者との同一視」と言います。
 自分が恐怖の対象(攻撃者)と同じになることによって、攻撃されないようになるという心理的メカニズムが働いています。子供によく見られます。
 優れた人物や攻撃者と同じだという満足感、安定感で、「抑圧」と「葛藤」による不安や恐怖から目をそらそうとしているわけですね。
 たとえば、親が「学歴に対する劣等感」を持っている場合、自分の子供が高学歴を持つことで解消しようとするケースがあります。
 高学歴を持った子供と自分自身を「同一視」することで、「劣等感」から逃れようとするわけです。
 このようなケースでは、子供に猛勉強を強制するようになります。
 子供自身の将来のためではなく、あくまで親の劣等感の解消のためなので、子供も反感を持ちやすく、いろいろな問題が生じやすくなってきます。

4.投影

 自分自身が「抑圧」している考え方や感情を、ほかの人が持っているように感じてしまうことです。
 たとえば、会社の上司をひどく嫌っていたとしましょう。
 そんな状態は、とても疲れますし、精神的にも、よくありません。そこで、「抑圧」する事になります。
 しかし、上司とは、いつも顔を合わせるので、「抑圧」していた嫌悪感は、絶えず刺激されることになります。つまり、「強い葛藤状態」に置かれるわけです。
 そして、「神経症」のメカニズムが働いて、原因不明の不安に悩まされるようになります。この状態は、とても苦しいものです。
 そこで、本当は自分の心のなかにある「嫌悪感」を、相手の心のなかにあると思いこもうとします。つまり、自分が相手を嫌っているのではなく、相手が自分を嫌っていると思いこもうとするわけです。これが「投影」です。
 この心の働きは、無意識に行われるので、自分自身は気づきません。そして、ことあるごとに、「私は上司から嫌われている」と感じるようになるわけです。

5.反動形成

 「抑圧」した考えや感情と正反対のことをする「防衛機制」です。
 先ほどの上司に対する嫌悪の例で説明してみましょう。
 今度は、抑圧した嫌悪感が刺激され、「強い葛藤状態」に置かれたとき、その嫌悪感をより強く否定する方向へ心理的メカニズムが働きます。つまり、自分自身は、その上司を慕っている、尊敬していると思いこもうとするわけです。
 こんな場合、神経症的な不安から逃れるのが目的ですから、上司への慕い方や尊敬の仕方が、不自然な形で現れます。
 たとえば、ひどくていねいな態度で接したり、不条理に満ちた命令でも、喜んで引き受けたりします。ほかの人に対しても、上司のすばらしさを必要以上に強調します。
 特に、上司に対する非難や中傷には敏感です。自分自身が「抑圧」している嫌悪感を刺激されてしまうからです。そんな場合、上司に対する非難や中傷を、徹底的に否定するようになります。
 このように「反動形成」は、不自然な形で現れる場合が多く、その思考も行動も強迫的になりがちです。

6.逃避

 「葛藤」を引き起こすような状況から逃げ出すことで、不安や緊張、恐怖をなくし、自分自身を守ろうとすることです。
 たとえば、先ほどの上司のに対する嫌悪の場合には、上司と顔を合わせないようにしたり、思い切って仕事を変えたりすることです。
 現実とは違う空想や白日夢の世界に浸ったり、病気になって苦しい現実から逃げ出すことも、「逃避」の一種です。

7.置き換え

 実際に不安や恐怖、怒りを感じる対象ではなく、代理となるものに、その不安や恐怖、怒りを感じたり、ぶつけたりすることです。
 たとえば、親に対する怒りを「抑圧」している場合、親と似た人に怒りを感じたりします。上司に対する「怒り」を、部下や子供に対して発散する、いわゆる「八つ当たり」も、「置き換え」の典型です。
 嫁と姑の関係がうまくいかない原因の1つとして、この「置き換え」が考えられます。
 嫁の場合には、自分の母親に対する「抑圧」した怒りや不満を、姑に対して感じてしまうわけですね。姑の方も、子供に対する「抑圧」した怒りや不満を、嫁に対して感じてしまうということもあります。

8.補償

 たとえば、勉強ができないという劣等感を、スポーツをがんばって、ほかの人より優れることで補おうとするようなことです。
 かなり一般的なもので、うまくいった場合、その人にプラスになることが多いと考えられます。しかし、あくまで劣等感を補償するための行為なので、挫折しやすいということもあります。
 また、「強い葛藤」があって、その不安や恐怖から逃れるための「補償」行為の場合、どうしても強迫的になり、不自然なまでに熱中したり、ほかのことをまったく無視したりします。
 そうなってしまった場合を、「過補償」または「過剰補償」といいます。

9.昇華

 現実の社会で認められない欲求や衝動を、芸術やスポーツといった誰にでも認められる高次の価値を実現することで、発散します。
 とても望ましい形の「防衛機制」のように思えますが、その本人が乗り越えなければならない苦痛は、計り知れないものがあります。
 「昇華」は、簡単に実現するものではなく、挫折した場合、病的な状況に陥りやすいと言えるでしょう。
 結局、成功したごく一部の人を除けば、ほかの「防衛機制」のほうへ流れていくと考えていいと思います。

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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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